若武との電話・アーヤSide ページ23
「本物の強盗でしょう!?」
「ああ。」
若武は、うっとりしたように言った。
「すげえよな、本物って。」
カッコよくハデにやることの好きな若武が、本物の強盗にひかれる気持ちは、よくわかった。
(P136)
でも私は、それほど感動していなかったので、ちょっとせせら笑ってしまった。
「刃物でコンビニの店員をおどすくらい、たいしたことないじゃない。私だって、やろうと思えばできるもん。」
すると若武は、急に不機嫌になった。
「じゃ、おまえ、やってみろよ。」
私の同意が得られなかったので、ムッとしたらしかった。
「口で言うだけなら、誰にだってできるよ。」
そこまで言われると、私もムカつく。
「話って、それだけ?」
つっけんどんに言うと、若武は、はっとしたらしくて、あわてて話を変えた。
「オレのチャリ盗んだのは、たぶんその強盗だと思うんだ。」
思ってもみなかった意見に、私はびっくりした。
「どうして?」
「だってさ。」
若武の声に、ギシッと家具のきしむ音が重なった。
(P137)
いすか、ベッドみたい。
「強盗が入ったコンビニは、オレがチャリを置いた秀明の西側の裏通りと、すごく近いんだ。おまけに事件がおこったのは、ちょうどオレたちが授業を受けていた時間だ。コンビニから走ってきた強盗が、オレのチャリを見つけて乗って逃げたとしても、不思議じゃない。逃げるのに夢中だった強盗は、ダイヤル錠をあけている時間がなかった。それで火事場のクソ力を出して、チェーンを引きちぎったんだ。」
話しながら若武の声は、どんどん元気になった。
まるで自分がその場で見ていたみたいに、生き生きと話す。
「で、オレの自転車に飛び乗って、自分の隠れ家めざしてまっしぐらさ。ポケットには、コンビニのレジスターからわしづかみにした金が、たくさん入っている。」
私は、思わず強盗の気分になった。
警官の目をかいくぐって自転車を走らせて行く自分の姿を想像して、ドキドキした。
「そいで、自分の......。」
若武がそこまで言ったとき、受話器のむこうで女の人の声がかすかに聞こえた。
「オミちゃん、誰と話してるの!?」
(P138)
「いけねっ!」
若武は、声をひそめた。
「このことについて、明日、緊急会議を開くぜ。明日は授業がないからバッチリやれるだろ。いつもの時間に特別クラスに来いよ。じゃな。」
手早く言って、ガチャリと電話が切れた。
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真穂(前よりさらに低in)(プロフ) - 恵菜さん» ありがと〜!!今夜も更新しまーす! (2016年8月23日 19時) (レス) id: d9b3432565 (このIDを非表示/違反報告)
恵菜 - ↓ごめんなさい!間違えました。恵菜です。 (2016年8月23日 19時) (レス) id: 06036da36b (このIDを非表示/違反報告)
Mio - おめでとうございます!応援してます! (2016年8月23日 19時) (レス) id: 06036da36b (このIDを非表示/違反報告)
真穂(前よりさらに低in)(プロフ) - 恵菜さん» ありがとう!! (2016年8月14日 23時) (レス) id: d9b3432565 (このIDを非表示/違反報告)
恵菜 - よかったですね!更新頑張ってください! (2016年8月14日 23時) (レス) id: 06036da36b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まーお。 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/9649c0265d1/
作成日時:2016年5月3日 12時