強盗!?・アーヤSide ページ22
「どこが襲われたの?」
ママは、手早く玄関の鍵をおろしながら答えた。
「秀明から少し行ったところのコンビニエンス・ストア。刃物で店員をおどして、レジから現金をつかんで逃げたんですって。白い車で逃走してて、まだつかまってないのよ。ちょうどあなたが帰ってくる時間だったから、ハラハラしてたんだから。」
とたん、下駄箱の近くのサイドテーブルの上で、電話が鳴った。
ママは、まるで強盗から連絡でもきたかのようにギクリとして、立ちすくんでしまった。
「私が出ようか?」
そう言うと、あわてて首を横にふった。
「女の子は、夜は出ちゃだめ。やぁね、こんな時間に。パパかしら。」
ブツブツ言いながら受話器を取りあげ、二言、三言話して保留ボタンを押すと、私のほうに突きだす。
「あなたによ。若武クンって、誰?」
若武!
(P134)
私は、おどろいたけれども、すぐさりげなく答えた。
「秀明の同じクラスの子。あとで話すけど、今日私、特別クラスに編入されたんだ。きっとそのことだと思う。部屋で出るから。」
若武からなら、自転車についての話にちがいなかった。
ママに聞かれたら、秀明が終わってからよけいなことをしてたのがバレてしまう。
「新しいクラスに早くなじみたいから、みんなとなかよくすることにしたんだ。今日も、それで遅くなったの。」
ママは、少しあやしげな顔をしながらも受話器を置いた。
「ほどほどにしなさいよ。忙しいんだから。」
「はあい。」
若武の自転車捜しに必要な時間を、私は、特別クラスの課外授業だと言うつもりだった。
でなきゃ、許してくれないに決まってるもの。
ママをごまかすのはいいことじゃないとは思うけれど、それほど悪いことをしてるって感じもしなかった。
それよりも、この事件を解決したいという気持ちのほうが、ずうっと強かった。
(P135)
「もしもし。」
部屋に入るなり、急いで受話器を取って私が言うと、電話のむこうで若武の声がした。
「強盗の話、聞いた?」
「聞いたわ。」
すばやく言いながら私は、腕をのばして間仕切りのカーテンをめくった。
となりには、奈子がいる。
前は、ひとつの部屋をふたりで使っていたのだけれど、私が秀明で遅く帰るようになったので、半分をカーテンで仕切って独立させた。
見れば、奈子はもうベッドの中で、静かな寝息をたてている。
私は、ほっとして、声を大きくした。
若武との電話・アーヤSide→←夢に見た恋人・アーヤSide
39人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
真穂(前よりさらに低in)(プロフ) - 恵菜さん» ありがと〜!!今夜も更新しまーす! (2016年8月23日 19時) (レス) id: d9b3432565 (このIDを非表示/違反報告)
恵菜 - ↓ごめんなさい!間違えました。恵菜です。 (2016年8月23日 19時) (レス) id: 06036da36b (このIDを非表示/違反報告)
Mio - おめでとうございます!応援してます! (2016年8月23日 19時) (レス) id: 06036da36b (このIDを非表示/違反報告)
真穂(前よりさらに低in)(プロフ) - 恵菜さん» ありがとう!! (2016年8月14日 23時) (レス) id: d9b3432565 (このIDを非表示/違反報告)
恵菜 - よかったですね!更新頑張ってください! (2016年8月14日 23時) (レス) id: 06036da36b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まーお。 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/9649c0265d1/
作成日時:2016年5月3日 12時