秘密 ページ6
イゾウが干していた洗濯物を取りに甲板を通ったときのことだった。
「オヤジ、次の島まで一緒に行っても大丈夫か？航路が同じなんだ」
「テメェらは海賊だろうが、好きにしやがれェ」
そう話しているのを聞いた。イゾウは少なくともあと10日以上Aを隠さなければならない、と少し憂鬱に思った。
心でため息をついてイゾウは去った。そしてイゾウがいなくなった甲板で、ティベイたちは本船の仲間と駄弁っている。
「なあ、Aっていつから寝込んでんの？」
「え、Aが体調崩してることすら知らなかったぜ」
「いつから姿見てないんだ？」
「んー…？いつからだろう」
「ここ数ヶ月単位で見てないかもな、偶然会ってないだけだといいけど」
ティベイは一瞬だが深く眉間に皺を寄せた。
昨日のAは確かに深く眠っていたものの、苦しそうな様子ではなく、イゾウの静止がなければ居眠りだと思って起こしてしまっただろう。
「もう一回様子見に行ってくる」
ティベイはイゾウの部屋に向かった。扉を二回ノックすると、何かを言う前にイゾウが出てきた。そして部屋から半ば強引にひき離され、用件を聞かれた。
「なんか隠してるんじゃないか？」
「人間隠し事の一つや二つあるだろ。で、どうした？」
「Aの様子を見に来たんだ」
「部屋汚えからダメだ」
「昨日は綺麗だったのに？」
イゾウに拒否されたティベイは食い下がろうとした。しかしイゾウの自分を見下ろす冷たい目に恐怖こそ感じなかったものの違和感を覚えて、ここは引くことに決めた。
「部屋、片づけたら教えなよ。友だちが心配なんだ」
「ああ」
イゾウは甲板方向に歩くティベイをある程度見て、そそくさと部屋に戻った。
『誰だったの？』
「アトモスだった。帯忘れてきたのを届けてくれたらしい」
軽く会話を交わしてイゾウはAの隣に座った。
「愛してる」
頬にキスをして各々好きなことをし始めた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 23人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：はなやぎ | 作成日時：2023年10月18日 7時
