再会 ページ4
イゾウ視点
しばらく甲板で待っているとティベイたちがやってきた。船を近づけて間に衝撃吸収材を挟む。しっかりと縄で繋いでからティベイ達が乗ってきた。何年振りだろうな。
「グララララ!久しいなァ!!」
「オヤジ!元気そうで何よりだ!」
全員がモビーに乗ったらすぐに宴を始める。ティベイは楽しそうに呑んでしばらくすると、あたりをキョロキョロと見渡して言った。
「Aはいないのかい?」
やはりバレてしまったか。部屋に連れて行ってもいいが、そうするとティベイは強引にでも甲板にAを引っ張り出すだろう。それはいただけない。
「Aは少し体調を崩して今は寝てる。起こさないでやってくれ」
「顔を見ることも許されない状況じゃないね?だったらアンタがここにいるはずないもんね」
クッソ、鋭いな。酔って「Aに会いたい!!」と騒がれた方がかえって面倒か。
迷いに迷った末、俺はティベイを案内した。
「ちょっと待ってろ」
先に部屋に入ってAの様子を確認する。ついでに薬のゴミとグラスを枕元に置いていかにも病人っぽくしておいた。
「ぐっすり寝てる。昨日から寝付けなかったようだからくれぐれも起こすなよ」
「わかったって。心配性だな、全く…」
まだ酔いがまわっていないこともあり、ティベイはそっとAの額に手をあてて優しい目で見つめた。
「久しぶりだな…話せないのが残念だが今はAの体調が第一だ。しっかり治してくれよ…命さえあればなんだってできるんだ」
ティベイは満足するまでAの頭を撫でてまた宴に戻った。俺もその後に続く。
ある程度騒いでAの待つ部屋に戻った。酒臭くないように風呂に入って、Aの隣に布団を敷いて横になる。
「まだ起きないのか?」
小声で言ってみた。眠らせたのは自分。でもあまりに深く眠っているので起きないのではと不安になる。
そっとAの胸に手を当てて鼓動を確認した。ゆったりと動いていて、Aも安らかに眠っている。
「おやすみ、愛してる」
しっかり届いていて欲しい言葉を放った。Aが少し笑ったような気がした。
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作者名:はなやぎ | 作成日時:2023年10月18日 7時