病を治すはずなのに【イゾウ】 (ページ25)

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治ったページ25

そんなこともあったと思い出話がされていた。

マルコがニュースクーから新聞を受け取った。金を忘れたと室内に一度戻ろうとしたら思いっきりつつかれ、周りの仲間に笑われていた。

「いててっ…やめろっ！痛ェっつってんだろうよい！！！この鳥が！！」

『ちょっ…はは！マルコ！！お金あるよ！』

「ありがとう…おら受け取れよい！焼き鳥のなりそこないが！！」

「それはひでぇ！お前も鳥だろ！仲良くしろよ！」

笑う仲間たちの中にはAとイゾウもいる。Aはニュースクーに手を振って、イゾウはそれを遠目に眺めていた。

Aは毎日仲間たちと釣りをしたり、トランプをしたり、オセロをしたり…楽しい日々を送っていた。
イゾウも以前のように目を腫らすことがなくなり、よく眠れるようになっていた。

「お、生きのいいルーキーがいるよい」

『火拳のエースだ！』

Aがぼそっとカッコいいよね…と呟いたのをイゾウは聞き逃さなかった。

「マルコ、その新聞燃やせ」

「俺の炎は攻撃能力ねーよい」

「チッ…」

指先から青い炎を出しながら新聞を読むマルコ。イゾウは舌打ちをして後ろからAの頭に顎を乗せた。

「そいつの方が好みか？」

『なになに？ジェラった？』

「ジェラ…？」

『そんなわけないじゃん！私のこと、顔だけで判断するような安い人だと思ってたの？』

酷い！と泣き真似をするAにイゾウは安心しつつ笑って、顎をぐりぐりと押し付けた。

『いてててててっ！』

「ジェラったってなんだよい」

『まず助けてくれる？！』

イゾウがAを解放するとAはひと睨みして、頭を抑えながら言った。

『ジェラシーを動詞にしたんだよ。嫉妬、ジェラるって』

「なるほどな」

『興味ないじゃん』

「まあ、そんな気になってなかったよい」

『焼き鳥め』

楽しい日常。みんなが望んだ日々。
文字通り仲間達に体当たりで気づかされたことが、二人の心のストッパーだった。
いつかは終わる日が来るけれど、それでも今が一番幸せで、大切な日々なのだと疑う隙もない。

幸せな日々がずっと続きますように。
旧時代の終わりまであと少し。