病を治すはずなのに【イゾウ】 (ページ17)

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気づく3 ページ17

A視点

ティベイに連れ出されて私は大慌て。甲板に着いて、なんとか降ろしてもらったけれどイゾウさんにバレる前に戻らないと。

『どうしたの？私戻っていい？』

「ダメに決まってんだろ。何のために連れ出したと思ってんだ」

至極当然のような顔で言われましても……
昨日のお誘いは断ったし、私には連れ出される理由が分からない。久しぶりに外に出て、しかもイゾウさんがいないなんてソワソワする。

「あのな、Aよく聞け！」

『はっはい！』

肩を掴まれて真っ直ぐな眼で見つめられた。逸らそうにも逸らせない。周りでは家族たちがこっちを眺めている。

ちょ、こっちに来ないで。興味ないフリしてそっぽ向いたってみんな嘘が下手。
あからさまに後ろを向いて声が聞こえるところまでみんなが近づいてくる。見せ物じゃないんだけど？！

「Aは島に降りたり、冒険したりしたいと思わないのか？」

『したいけど…』

「じゃあすればいいじゃないか！なんで部屋に閉じこもってんだ！」

『だからイゾウさんが…』

悲しんじゃう、そう言う前にティベイに睨まれた。言葉が喉につっかえて出てこない。

「何でAがやりたいことをイゾウが縛れるんだよ」

『違うよ、私が悲しませたくないって思ってるだけ』

「言いたいことは分かる。外に出ないのが自分の意思だということもよく分かった。でもな、イゾウのために犠牲にしていることが多すぎる。イゾウ抜きで考えてみろ」

そんなことを言われても、イゾウさんが居ない生活なんて考えられない。それに何を考えるの。

「Aは今イゾウのために自分を諦めてんだって言ってんだよ！自分の気持ちも優先しろよ」

『イゾウさんを傷つける私なんて、イゾウさんの側にいれないよ…』

「でもイゾウはお互いが知らない間にAのこと傷つけてんだろッ…！」

ティベイの顔が段々と歪んでいく。悔しそうな、でも悲しそうな表情に私は顔を逸らした。
それでもティベイは私の肩を掴んで離さない。

「あたしは…Aとイゾウの二人の幸せを願ってるんだ。この関係を見直したら、もっとアンタらは……」

『もう幸せだと思ってるよ』

「違くて…！あ〜っ、もう！なんて言えばいいんだよ！！」

すると後ろから声がした。

「A、前より楽しくなさそうだぞ」

顔は見えないけど確か1番隊の人だ。やば、声だけじゃ名前出てこない。