気づく2 ページ16
翌日、無事に島に着くと楽しそうに大勢が飛び出していった。どこまでも冒険する少年心を忘れない人たちである。
「なあサッチ」
「ん？」
「ちょっとイゾウ連れ出してくれないか？」
「なんでだよ」
「A攫ってくる」
ティベイにそう言われたサッチは顔を青くした。
「…殺されるぞ」
「でも…今の二人は絶対おかしい。大丈夫、イゾウだってマジで殺しはしないさ」
顎に手を当ててサッチは考えた。そして少し気合をいれて立ち上がった。
「口実という名のがんもどき作ってくる」
「よし、ありがとう」
「俺もだけど、お前もある程度の致命傷を負う覚悟はしとけよ。防弾着とかいるか？」
「イゾウの攻撃だぞ？そんなんあっても無くても変わんないだろ」
「気休めだっつーの」
そんな会話を成されている間、イゾウは自分の腕にAを閉じ込めて満足していた。Aは幸せを感じながらも、窓から島を憧れるように見て胸が締め付けられる思いを隠していたのだった。
『お外綺麗だね』
「だな、人が多くて発展はしてるらしい。なんか欲しいものはあるか？必要な物とか」
『ん〜…イゾウさんチョイスの暇つぶしが欲しいかな』
「承知した」
二人がそんな話をしているとノックが聞こえ、少し開けられた扉の隙間からリーゼントが差し込まれた。
『どうせなら顔出せばいいのに。それだけ見るとマジフランスパン』
「なんだよ久しぶりなのに！イゾウに頼みがあってきたんだ」
「どうした？」
「がんもどき作ったんだけど少し材料変えたんだ。前と味も違うし、レギュラーメニューにするかの判断してくんね？」
イゾウはAを優しく離すと雷にも負けぬ速さで部屋を出ていった。
サッチのドン引いた声が聞こえてAはまた少し寂しく感じるのだった。
結局自分は置いていかれる側なのだ。
すると扉が開いてティベイが入ってきた。
ほら、来てもらわないと会えないんだ。Aは嬉しいはずなのにどこか悲しく感じた。
『どうしたの？』
「さてと…イゾウはいないし、行くか」
ティベイは俵担ぎでAを肩の上に乗せて部屋から飛び出た。
『えっ？…ちょっと？！』
「悪いな！…あんたら二人して見てられなかったんだ！」
『逃げないから降ろして〜！！！』
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作者名：はなやぎ | 作成日時：2023年10月18日 7時
