病を治すはずなのに【イゾウ】 (ページ14)

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家族だろページ14

ティベイと女子会をしてから数日、Aはいつも通り過ごしていた。
その一方でティベイは部屋に行かないと会えない、本当に出てこないAを心配していた。

「サッチ、Aは外でみんなと騒ぐのが好きだったはずだ。こんなに変わるもんか？」

「う〜ん…Aは嫌がっている様子ではなかったんだろ？」

「でもさぁ…本心かね。あの子良くも悪くもポーカーフェイス上手いから」

こんな会話をされているとは露知らず、Aは開かない窓から外を眺めていた。

「どうした？」

『最後に日の光を浴びたのはいつだったかなって思って…寂しいよ』

「じゃあ明日俺と一緒に出てみるか、くれぐれも一人で出るなよ？」

『やった！』

次の日の昼、Aはワクワクしながら朝の準備に出たイゾウの帰りを待っていた。
しかし昼ごはんを持ってくるのに一回、皿を下げてくると言って出て、次は日が落ちるまで戻って来なかった。

『昨日、外一緒に出るって約束したよね？』

「…やっぱダメだ。今日は波が高かった」

Aはもう無理だと悟った。
イゾウが居る限り、自分は日の光を浴びられないのだと。しかしAにとって太陽より重要なのはイゾウの涙だった。
だから苦でもなんでもなかった。イゾウが笑っていてくれるなら幸せだと思っていた。

イゾウが悲しまないように。自分のことはその後でいい。世界で一番自分を愛してくれる人を大切に。

その夜、ティベイは廊下で会ったイゾウに話しかけた。

「なあ、明日の朝に島に着くんだがAと一緒に降りてこようと思う」

「は？なんでだよ」

「なんでって…そりゃ友達と出かけたいからだ。理由なんかいらないだろ」

「ハァ……じゃあAに聞いてみるといい」

イゾウが風呂に行く間、ティベイはAを訪ねた。Aは最近頻繁に会えるティベイを笑顔で迎えた。
軽い雑談をしてひとしきり盛り上がった頃、ティベイは忘れかけていた本題に入った。

「明日島に着くと思うんだけど、一緒に遊びに行こう！」

『えっ！やった！！』

Aは目を輝かせて喜んだ。予想通りの反応にティベイは朗らかな笑顔を浮かべた。
しかしAはすぐに何かを思い出したように俯いた。