病を治すはずなのに【イゾウ】 (ページ11)

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親友よページ11

マルコを追い払った部屋で、Aは驚いたようにイゾウを問い詰めていた。

『ティベイが来てるの？』

「…来てる」

『じゃあなんで教えてくれなかったの？私も友だちに会いたかったのに！』

部屋を飛び出そうとするAの手を掴んでイゾウは抱きしめた。

「やめてくれ……！お願いだから！」

『確かに私は戦えないよ…でも守ってくれるのはイゾウさんだけじゃない！私は…私は！』

その瞬間、イゾウは敷かれたままの布団にAを押さえつけた。

「そんなこと言うんじゃねえ！！俺から離れてお前は生きていけるのか？！俺のそばにいてくれれば、お前のことを絶対危険にさらさない！」

『…ｯ！！友だちに会うことが危険だって言うの？！』

Aは言い返した。でも、一番傷ついた言葉には触れられなかった。Aは、イゾウ無しでは何もできないとイゾウに言われてしまった。

「違う！！ティベイに、お前を連れ出されるのが怖いんだ…！A…は、俺が守りたいのに…」

イゾウの髪で、Aからは顔が見えなかった。しかし悔しそうにする様子は見てとれる。

「ティベイに会うのは全然良いさ。でも、でもな…いつ敵が来るかも知れない甲板に出たり、俺の守れない所に行かないでくれ…」

イゾウは手を離してAの上から降りた。そしてAに背を向ける。

「ティベイを呼んでくる、それで我慢してくれ」

『…』

「できるな？」

『うん…』

イゾウがいなくなった部屋でAは頭を抱えた。泣きたいわけではないのに、涙が止まらない。

自分は、イゾウがいないと何もできなくなってしまった。掃除も洗濯もずっとやってない。すっかり忘れてしまった。いつ、誰と、見張り担当だったのか。壊れたモップはどこのロッカーに入っていたっけ。

船に乗っている意味ってなんだろう。