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憂鬱な春 ページ14
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「どうやらお疲れモードですね？」
眼鏡越しに垂れた目が私を見つめた。
「ちょっとね。」
本数の減った満員電車は、どうやっても密集密閉密接は避けられない。リモートワークなどとは程遠いこの業界では、当然のように多勢の社員が門をくぐる。それが仕方のないことだとは知っているし、この職業を選んだのも私だ。
「お風呂先もらっちゃった。入っておいで。掃除は明日俺やっとくからそのままにしといて。」
いつもなら最後に入った人が風呂掃除当番なのだけれど、最近はこうして甘えっぱなしで、どことなく申し訳ない気もしなくはないけれど、疲弊した身体では掃除など後回しになりがちで、畳まれた洗濯物でさえクローゼットに運ぶのが精一杯で種別できていない。
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作者名：黒尾 | 作成日時：2020年7月14日 0時
