【銀魂】月夜に忍は何想ふ。【河上万斉】 (ページ35)

今日:5 hit、昨日:1 hit、合計:25,462 hit

仲間33人。ページ35

A「やった……ｯ、!?」

背中からお腹に向けて痛みが走る。

下に目をやるとお腹から突き出る刃。

恐らく刀。

振り向くと人が五人ほど居た。

兵「ちょこまかと逃げやがって……」

私は残りの力を振り絞り、男を殴り飛ばす。

すると男は吹っ飛び、後ろの奴らも巻き込んだ。

A「ﾊｧｯ、ﾊｧｯ……ｯ!!

こんな、とこ…ｯで、死ね…ません……!!」

弱い力で藍富士を持つ。

構えると、立ち上がった男が向かってくる。

それを見事に斬り捨てた。

後に続いて二人同時にかかってくる。

すると呆気なく捕まってしまった。

A「ｯ離して……」

声も張れないくらいに意識が薄くなってきた。

男達が私を蹴る。

蹴り続ける。

お願いだから……

河上さんが……来るまででいいから……

耐えて、私……

耐えろ、私……!!

兵「なんだこれ、三味線？」

兵2「人斬り万斉の三味線じゃねぇか？」

兵「こんなもんいらねぇ。」

そう言って投げ捨てる。

A「ｯかわ、かみさん……!!」

私は這いずりながらも三味線を拾いに行く。

兵3「あ、本当だ。人斬り万斉のやつみたいだな。」

私は怒りと悲しみ、痛みがごちゃごちゃになって、

泣きたくなった。

でも、泣けない。

兵「なんだコイツ、泣きやしねぇ！」

兵4「つまんねぇ女だなぁ！」

そう言って三味線を抱き抱える私を蹴飛ばした。

蹴飛ばされ、三味線が地面に落ちる。

嗚呼……もう、死ぬのかな。

そう思った時、ふと誰かの手が三味線を拾う。

そして耳に響いたのは、心地の良い三味線の音。

まるで河上さんがそこにいるかのような安心感をくれた。

A「ｯ……!!」

何故か涙が止まらない。

何故？

泣きたくても出なかった涙が、

次々と溢れ出る。

この感覚は2年ぶりだなぁ……

あの日以来だ。