第六話 ページ6
檜山くん、だった。
すぐに目を逸らされたけど分かった。
きっと相手は私だと分からなかっただろうけど、私は分かってしまった。
今でも私より背は低いけど、前より確実に伸びた背丈。
失礼かもしれないけど、以前とはかけ離れた整っている顔立ちに体型。
もう眼鏡はしていないのだろうか、以前よりも笑った顔がよく見える。
あの、顔いっぱいいっぱいに感情を表すと大きな瞳がなくなってしまうくらいくしゃり、と笑うあの笑顔。
ぷにぷにだったほっぺたも大丈夫？と手を差し伸べてくれた安心する掌も、全部なくなっていて。
でも、一目見ただけで彼だと分かってしまうのはなんでだろうか。まだ未練があるのだろうか。
…そんなものは無い、はずなのに、無性に胸がざわめく。
彼の隣に立っている彼女の姿が、見えてしまったから。
安「ん？A、立ち止まってどうかした？」
「……んや、なんでもない」
安「そう？んじゃ早くいってマック行こー」
「うん」
中学の時の私は、檜山くんがストレートロングが好きだと話していたのを聞いて肩までしかなかった髪を腰まで伸ばした。
中学生ながらヘアケアやらなんやら頑張っていたが、それは儚く散った。
この175cmという意味の無い高い身長のせいで。
そこからはボーイッシュ路線で檜山くんよりいい男になってやる！なんて無駄に意気込んでたけど、
今彼の隣にいるのは背が低くて色白で、体の線が細くて、目は少しツリ目だけど大きくて、髪はショートな女の子だった。
なんだか少し虚しくて、さらに短くした襟足に触れた。
・
ゴミ出しの帰り道、隣を歩く秀くんから、
安「さっきから襟足触ってるけど、なんかあった？」
「んー、今度はツーブロにラインでも入れてみよっかなーって」
安「これ以上男らしくなってどうすんの！男の子に間違われちゃうでしょ！！
まあAは似合うだろうけど」
「止めてるのか勧めてるのか分からない回答だな秀くん」
安「やりたい事楽しんでるAが好きなだけ。
やりたいって思ったらとことんやり続けるんだから」
「へへ、まあね」
安「ほら、あの三人待たせてるんだから急ぐよ！」
「へいへーい」
安「返事は はいでしょ！！」
「……あじママこわぁい」
ちょっとだけ勇気づけられたのは内緒ね。
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塩麹。(プロフ) - ふうかさん» ありがとうございます！地道にゆっくりと頑張らせていただきます。更新を楽しみにお待ちください！ (2021年12月14日 1時) (
レス) id: cc7b208a8b (このIDを非表示/違反報告)
ふうか - すごく面白いです!!続きが気になります!!更新待ってます！！ (2021年12月13日 1時) (レス) @page24 id: c4a626600f (このIDを非表示/違反報告)
塩麹。(プロフ) - Hano.さん» ご報告ありがとうございます。見直し次第修正させて頂きます。 (2021年9月21日 20時) (レス) @page7 id: cc7b208a8b (このIDを非表示/違反報告)
Hano.(プロフ) - 7話の主人公の名前がなぜかAになってます。 (2021年9月21日 16時) (レス) @page7 id: ab344dd67b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：塩麹。 x他1人 | 作成日時：2021年9月17日 23時
