02.何度目の正直 ページ4
ぱちくり、瞬きの後に見つめ合う。
少年は脳内分析が追いつかず、私は少年に見とれて。
｢…………えっと、あの｣
短いような長いような奇妙な静寂は少年の困惑した声によって遮られた。
彼は慌ててベッドのマットレスをバウンドさせながら姿勢を整える。私もそれにつられて正座。目線のど真ん中に少年の端正な顔がきた。
こんなに近くで美少年を見れるなんて目の癒し以外何物にもなり得ない。至福のひととき。
｢あの……｣
身を乗り出してまじまじ見ていたようで彼の困惑を増幅させていた。
いかんいかんと自分に言い聞かせる。
まずは現状打破だ。息を肺に溜めた後、がばっと頭を下げ言葉を吐き出す。
｢｢ごめんなさい｣｣
｢昨日のこと何も覚えてないの｣
｢昨日はありがとうございます｣
最初は見事合致したが、次に述べられた言い分は180度食い違う。
｢えっと本当に何も覚えてないの。けど、きっと酔っぱらいの詭弁 でも並べて連れ込んだって当たりを付けてるけど合ってる？｣
｢あっいえ、僕がお腹をすかして倒れ込んでいた所を保護して頂いたんです｣
そう言って少年は振り向きざまに四脚の椅子が置かれているダイニングテーブルを指さした。
非常食のカップラーメンが3つ、食されて立ち並ぶ。
やはりな……。昨日の自分を察して項垂れる。
私の悪い癖が泥酔によって滲みでたに違いあるまい。
｢私が貴方にダル絡み。うううん、そうねぇ。きっと行ったであろう愚痴、文句、小言その他諸々、ごめんなさい。｣
苦笑いで返されたということは、矢張りそういう事だ。容貌の良い人間に対してお節介を焼いてしまうのは昔からの悪い癖。頼まれたら断れないという日本人特有のお人好しの面も2重に首を絞める。詰まる所、家に連れ帰ったというのも1度や2度の出来事ではないのだ。
美男、美女、美少年、美少女、美と名のつく顔立ちにはどうも昔から目がなかった。
勿論、相貌が整っているというだけで内面が歪んでいたら私とて好意は抱かない。
でも、好きになるのは決まって容姿がいい人だった。私にとって好きな人というのは決して一人を指す名称ではなく、その都度その都度、形を変える。
多数の人間を同時に好んだ事もある。
ぎゅるぎゅるぎゅる、感傷に浸りそうになった時に彼の腹虫が壮大な音を鳴らしてアピールするものだから笑ってしまった。
｢ふふふっ朝ごはんにしよっか！何か食べたいものある？｣
｢茶漬け……茶漬けがいいです｣
赤面する彼は頭を垂れながらもそう言った。
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司(プロフ) - 黒猫さん» コメントありがとうございます！こんなハチャメチャな夢主、需要あるのかな？と不安だったので、そう仰って頂けると嬉しいです！オチはですね……。後々あかしますね。個人的にオチを先にお知らせするというのはどうにもピンとこなくて……個人的な見解で申し訳ないです (2017年7月28日 18時) (
レス) id: b086ef1462 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫 - うわぁぁぁ文才ありすぎません？設定がしっかりしてて読んでて楽しいです！！渡辺ちゃんの謎？も気になりますし…笑笑。あと気になるのはこの小説って誰落ちなんですか？（太宰さんがいいなぁ…←図々しい汗）更新頑張ってください！！！ (2017年7月26日 13時) (レス) id: a8e89100ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：司 | 作成日時：2017年7月2日 15時
