10.もしかしてのアバンチュール ページ14
甲高い音に導かれて男達の首がもちあがる。
音を辿って彼らが私に気づくまでコンマ数秒。不思議なことに世界はスローテンポに変わり果てた。その恩恵を受け脳が高速回転する。
お母さん、お父さん、親不孝者の私をお許しください。職を放棄しなかった私をマヌケだと非難せず、誇り高い娘だと笑い飛ばしてください。それがどんな花向けの言葉より、効果てきめんです。
ですが、その前に足掻くのが私らしいですよね?そうですよね?
銃で撃たれるとか、そのような雑念を吹っ飛ばして一目散に駆け出す。
生にしがみつくのが生者の務めだ。
「おい」「お前」「何者だっ」「止まれ」「止まらないと撃つぞ」
背後から聞こえる物騒な言葉達には耳を貸さない。
ただ全力疾走するのみ。おかげでまたもや目前に迫ってきた十字路。
どっちだ。どっちならば現状を打破できる?
背後から迫り来る足音が恐ろしい。獣達が一刻一刻、近づき、引き裂くような機械音も加わった。彼らも手段を選んでる暇はなくなったということだ。
こうなれば当てずっぽうしかない。
右に曲がろう、決意を固めて腕を思いっきり振り切った。
が、突然の大きな力で阻まれ、左側の路地裏へと誘われてしまった。
何者かに手首を掴まれたんだと理解したのはバランスを崩してからである。
重量の赴くままに体が投げ出されると待ち受けていた人物によって抱きとめられた。
勢い任せだったため、鼻は致命傷を受けたがお香のような匂いがふわりと覆われた。
次いでにいえば、頬もなかなか打ち付けら熱を帯びるが、私を抱えてもびくともしない胸板はたくましく、背に回された腕はやけに優しい。
現状を理解する前に素早く腕が両肩に添えられ大勢を立て直された。
「ついておいで」
有無も言わせない物言いで右手を繋がれ導かれ走り出す。少し角張った手がスッポリと私の手を包み込むものだから、恐怖や疑問はどこかに消え去り、ただただ目の前の人物のお荷物にならないように必死に足を動かした。
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司(プロフ) - 黒猫さん» コメントありがとうございます!こんなハチャメチャな夢主、需要あるのかな?と不安だったので、そう仰って頂けると嬉しいです!オチはですね……。後々あかしますね。個人的にオチを先にお知らせするというのはどうにもピンとこなくて……個人的な見解で申し訳ないです (2017年7月28日 18時) (レス) id: b086ef1462 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫 - うわぁぁぁ文才ありすぎません?設定がしっかりしてて読んでて楽しいです!!渡辺ちゃんの謎?も気になりますし…笑笑。あと気になるのはこの小説って誰落ちなんですか?(太宰さんがいいなぁ…←図々しい汗)更新頑張ってください!!! (2017年7月26日 13時) (レス) id: a8e89100ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:司 | 作成日時:2017年7月2日 15時