ゼラニウム second tk×in (ページ22)

今日:4 hit、昨日:4 hit、合計:49,702 hit

62　hk ページ22

保健室につくと、薮は内側から扉の鍵をかけた

その瞬間、ふわっと包まれる感覚がした

いつも俺を安心させてくれる匂いがして、薮に抱き締められたのだとわかったけと、今の俺にはその匂いが嫌だった

八「はなれて、っ！」

薮「え、」

薮を信用したくてもできない自分に腹が立つ

突き飛ばしてしまった薮は、さっきいのちゃんが俺に見せたような悲しい顔をしている

そんな薮を直視できなくて、俺の足元に涙の水溜まりができていく

"いのちゃんもこの匂い好きなのかな"

俺の頭のなかは薮といのちゃんが話している光景ばっかり流れている
　

薮「光、本当にどうしたんだよ」

“いってくれなきゃ分からない”

困っている薮の顔が俺の心を締め付けて、俺は本音をもらしてしまった

八「俺よりいのちゃんのほうがいいんでしょ
　俺なんてほっといてよ」

ほんとのことを言うと、いのちゃんの話題を自分から振ることがとても怖かった

声に出してしまうと、いのちゃんと薮の関係が薮によって肯定され、フラれてしまうかもしれない

そんなこと思って覚悟を決めたのに、目の前の薮は目が点になっている

そして目を細めて笑った

　

薮「光、嫉妬？」