ー ページ34
ー
「怒ってるのって」
『何で私が怒るの？』
「…何となく、そんな感じがするから」
ツラがいいなこの野郎。珍しくしょぼんとした顔をする角名は私に罪悪感を植え付けるように私を見つめる。もしや確信犯なのだろうか。だとしたら本当に怖い男。
『別に、怒ってない。ただ、』
「……ただ？」
『……………私に構わなかったらあんなにも女の子達が群がるんだね』
「え」
角名から目を逸らしながらそう言えば、隣からはそんな短い声が聞こえてくるから『何？』と言い返す。
だってそうじゃん。角名がモテるのは知ってたけど、私と話さなかったらあんなにも色んな女の子達から声がかかるし、きゃっきゃされてる。
本人からしてみれば嬉しいものなんじゃ…
「………ねぇ。今の自分の顔、分かってる？」
『は？何？ブサイクとでも言いたいわけ？』
「違うよ、可愛すぎ」
ぽつりと呟くように言われたその言葉に言い返そうとすれば急な爆弾が落ちてきた。
『………は？可愛い？』
何が？誰が？私が？何で？そんな顔したつもりも、そう思われるような言葉も言ったつもりはない。
『……もう、やめて』
………また、そういう言葉を簡単に言う。やめてよ。
角名の気持ちが分からないんだから。無駄に私の気持ちを引っ張らないで。
私はまた逃げるように、歩くスピードを早めようと思い足の指先に力を入れた、その時。
「A」
『……っ、』
その声は今までにないくらいに優しくて。
私の手を掴んだその手は、私よりも少しだけ温度は低く簡単に私を引き寄せる。
『すな、』
角名の右手は私の手首に。左手は私の腰に。グッと角名の方へ引き寄せられ、整った顔は私のすぐ目の前に。そしてその薄い唇は弧を描き、ゆっくりと開くと。
「もう、俺の事好きでしょ？」
それはまるで確信したように、挑発するように、意地悪するように、見定めるように、私に向けられた。
角名の事が、好き？
ドクドク、と心臓が大きな音を立てる。
角名にまで伝わってしまいそう。
角名の瞳に映るのは私だけ。それがいつだって嬉しかった。まるで特別になった気がしていた。
『……私が……角名を？』
私から出たのは小さくて掠れていた声。
そんな声に角名は余裕そうに口元を緩めると小さく頷く。
ー
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 319人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しゅな - すなくんが大好きなのでとても嬉しくてきゅんとしました！！！この作品のおかげで悩みが吹っ飛びました！！初コメ失礼致しました！作者様尊敬します！！！ (4月21日 22時) (
レス) @page4 id: 231c051d6b (このIDを非表示/違反報告)
まあり(プロフ) - ポンコツさん» 読み直しにきてくれたのですか！？ありがとうございます…！まだ分かりませんがいつかまたハイキュー書けたら良いなと思っているのでその時にはぜひまた読みに来てください☺️応援ありがとうございます！！ (2022年10月20日 9時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
ポンコツ(プロフ) - 以前読みましたが久々に読み直してました！まありさんが書くキャラクターの性格？雰囲気？がすごく好きです！もし今後気が向いたら私推しの影山、牛島、木兎を書いてほしいです(´°ω°｀)それ以外でも今後何か更新されたら見にきます！これからも頑張って下さい☆！ (2022年10月16日 19時) (レス) @page50 id: 16f55af0f9 (このIDを非表示/違反報告)
まあり(プロフ) - 妃嶺さん» そんなに楽しんでいただけたのなら良かったです（ ; ; ）！わーっ！！ありがとうございます！これからもキュンさせられるように頑張りますー！ (2021年12月12日 1時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
妃嶺 - 最後まで読まさせていただきました！最初から最後までキュンキュンして、現実であれば最高なのにな〜って、気づけばお話の中に入り込んでました！他のお話も読まさせていただきます。これからも頑張ってください！ (2021年12月11日 12時) (レス) @page50 id: e817c59b7b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まあり
| 作成日時：2021年11月12日 21時
