宮くんが可愛いと言ったらしい。1【宮治】

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外野からぎゃーぎゃー騒いでいる侑を無視して、まず初めに治くんに言う言葉を考える。



『……』


「優しくしてやるて言うたやろ」


『ぶっっ…ちょ、待って、治くん。考えてるから、黙って、』



急にぶっ込んでこないでほしい、ほんとに。

眉間に指を当てて、さっき侑とした会話を思い出す。



"ええか？スナは俺がどうにかする！そしたらAはサムを頼むで"


"はあ？無理に、"


"いいから聞けや！Aはサムをユウワクすんねん"


"は？誘惑って何？ズボン脱ぐとか？"


"はぁ！？おまっ何を言うとんねん！！アホか！！お前にそんな魅力ないで！？"


"は？生き埋めにされろ侑"


"ええから、普通に何か誘うねん！！もしここでボールに当たってくれたらとか……"


"土下座で頼む？"


"食べ物でも何でもええ。とにかくサムを釣れ"



『……よし、』


「お、気持ち固まったか？」



治くんはこの試合が始まる前に言った。


勝ったらデートしようと。

別に、自惚れとかじゃない。


だけど、治くんが私の気持ちを知っていながらあんな嘘を言うとは思えないから…


でも、半分くらい、賭け。



『……治くん、』


「ん？何や？」



いつものようにのんびりした声で、私を見つめる治くん。


あ、好き。なんて気持ちが溢れそうなのをどうにか飲み込んで次の言葉を口にした。



『………私が今から投げるボールに当たってくれるんなら』


「……」


『……デート、したい、です』


「…は、」


『……治くんのおすすめの食べ物屋さんとか、行ってみたい、で…す…』







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