砂糖水【花巻貴大】

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「Aちゃん、俺と付き合ってくれる？」


『っ、はい』



嬉しくて、興奮気味にうんうんと頷くとまた小さな笑い声が聞こえてきて。花巻先輩の大きな手が私の頭を撫でてくれるのが心地良くて目を瞑る。



『花巻先輩良い匂い』


「何それ恥ずかしい」


『恥ずかしいとか言って花巻先輩っていつも余裕そうじゃないですか』


「そんな事ないよ？今だってすごいドキドキしてる」


『……………ほんとだ、』


「ちょ、聞かないでよ」



試しに耳を当てるとドクドクと速い音が聞こえてきて思わず顔を上げれば、まさか顔を上げると思っていなかったのか、耳を赤くさせて表情を崩す花巻先輩は「あ、いきなり顔上げないで」と手の甲を口元へ当てる。

慌ててる花巻先輩、可愛い。新鮮。

本当だ、花巻先輩も私と同じだった。

それが嬉しくてへらりと笑って、離れようとする花巻先輩を捕まえるようにぎゅうっと抱き着く。



『好きです』


「え、」


『大好きです』


「わ、分かったから」


『余裕ない先輩、可愛いです』


「揶揄ってるな！？」


『好きなのは本当ですー』


「あーもう！」



「耐えられん」と私を剥がそうとする先輩に反抗してもっと強く抱き着く。



『もっとくっつきたいです』



私がそう言えば、ピクリと動きが止まり一瞬息を吐くのが聞こえたと思ったらまた、さっきと同じ…いやさっきよりも強い力で花巻先輩も私の背中に手を回してぎゅうっと。キツく抱き締めてくれる。優しい。



『ね、花巻先輩』


「貴大」


『デコ巻先輩』


「……」


『…貴大先輩？』


「…貴大だってば」


『…た、貴大くん、』


「…なあに？Aちゃん」


『……もう一回、好きって、』


「好き。大好き。Aちゃん好き」


『………んんん、嬉しいです』



花巻先輩と両思い。

それどころか、今日から花巻先輩の彼女なんだ。そう思うと本当に今までにないくらいに嬉しくて。勝手に顔がニヤけてしまう。


花巻先輩を好きになって本当に良かった。

これからも。できればずっと。

花巻先輩を好きでいたい。

花巻先輩の隣にいたい。

心の中でそう願う。



「ほんっとに、及川じゃなくて良かった」


『無理ですあの人は生理的に』


「Aちゃんって結構言うよね、本人にも言いそう」


『全然言えます。何なら今から言ってきましょうか』


「それはやばい」



私の返事にふはっ、と可笑しそうに笑う花巻先輩に私もクスクスと笑った。









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