太陽は眩しく笑う。3【煉獄杏寿郎】

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『………ん？この音は、』



今度はダダダダダダッと。


物凄い速さで廊下を駆けてくる音がしたと思ったらバンッと勢い良く開かれた襖に目を丸くさせてそちらを見る。



襖を開いたのはもちろん煉獄さん。

び、びっくりした…

襖が壊れたかと…



「どうした！大丈夫か！？」



そして驚く私に構わず畳に座り込んでいる私をその目に映すなり、焦った顔をして駆け寄ってくる。



『え、は、はい…草履取ろうとしたらバランス崩しちゃって…』


「どこも怪我はしてないか？」


『してないですよ、強いて言えばお尻が痛いくらいで…』



自分のドジさに恥ずかしくなって頬を指で掻いて煉獄さんに笑いかければ、少しだけホッとしたように眉を下げる。


凄い音したもん…

そりゃびっくりするよね。



『へへ、心配かけちゃったみたいですみません』


「謝らなくていい、呼んでくれればこれくらい俺が取るぞ？」


『…鍛錬中でしたので、』


「……」


『……煉獄さん？何でそんな拗ねたような顔を、』


「Aが呼べば俺はいつだって来てやる、何でもしてやる」


『…へ、』


「だから、あまり無理をするな。怪我もするな」



その目はあまりに切実にそう願うようなそんな目。


しのぶさんの所でお茶をかぶってしまった時も「胡蝶には怒られただろう」って笑って私を慰めてくれていた煉獄さんがこんな風に言うのは初めてで。正直驚いた。



驚いたけど…


……だけど、煉獄さん。



『……』


「……」


『…………って、』


「今なんて、」


『はい、気をつけますね。尻もちなんかつくのいつぶりだろう…びっくりしちゃいましたよ。すみません、手借りていいですか？』









ーーーそれなら煉獄さんだって、



喉まで出かけた言葉を、私はそっと飲み込んだ。








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