太陽は眩しく笑う。3【煉獄杏寿郎】

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ここへ何しに？

なぜここが分かった？

私を、どうする気？



「そう、怯えるなよ」



ドクドクと、嫌な音が鳴る。


だって、

私がここにいる事は両親もこの男も知らなかったはず。


ここに来てから顔見知りにだって会っていなかった。

煉獄さんと出掛ける以外は出掛けてだっていない。

それなのに…、



「この前街へ来ただろう？その時お前の母親がお前を見かけたらしくてなぁ？俺に知らせてくれたんだよ。それに今、仲間が門の前で見張ってる。お前の逃げ場はないなぁ」



この前って…


久しぶりに少しだけ遠出した時の…？

その時の街が、私がいた所だったの？


……あまり外へは出なかったし逃げ出した時も薄暗かったからよく分からなかった。


覚えていないのも当然だ。

それでお母さんが…



『……っ、』


「そんな顔すんなって、前の生活に戻るだけだろ？」



男はそう言ってその汚い手で私の頬に触れようとするから『…触らないで、』と避ければ男はピクリと眉を動かす。


一緒に住んでいたからとはいえ、この男の名前なんて知らない。


誰かがこの人の事を呼んでいたのを聞いた気もするけど、興味がなかったから。


覚える気なんてあるはずもないし

それに、呼ぶ機会もなかった。

この男が、一方的に私に命令するだけ。



「よっぽど良い暮らしだったようだなぁ？前はそんな反抗的な目をするような奴じゃなかったじゃねぇか」


『……、』


「まあいい。俺はお前を連れ戻しに来たんだよ。お前の両親には金払ってるしなぁ？」



分かるよな、とでも言うように男はまた口角を上げる。






……戻りたくない。


そんなの決まってる。


こんな奴の元に戻るくらいなら死んだ方がよっぽどマシだ。


それに。





何より私は、煉獄さんのそばにいたい。


両親にお金を払っているから何だ。

両親とこいつが勝手にしたやり取り。

勝手に私を商品にしただけ。


私が素直に従う理由なんてない。




…だけど、そんなに上手くは行かない。





行くはずがない。








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