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「刀が、怖いか?」
『……』
別にそれはもういい。
彼は人を傷付けないと、そう言ったから。
嘘をついている様には見えなかったし…
「信じられないか?」
『……』
違う、そういうわけでもない。
彼が纏う雰囲気も、声も、何となく、悪い人じゃない。
私は自分の直感を信じる。
……それでも、彼について行こうとしないのは。
「……」
『……』
黙り込んで俯いた私に、彼も黙って。
私と同じ目線にしゃがみ込んで、私の言葉を待つ事にしたのか、口を閉じる。
私が彼に、ついて行こうとしないのは……
「……」
『……』
「……」
『…………あ、の、』
私は意を決してゆっくりと口を開く。
すると「何だ?」と柔らかい声が聞こえきて、さっきまで速かった鼓動が嘘みたいに落ち着いていく。
『……その、』
「……?」
『……』
「……」
『……………立て、なくて、』
「……」
『……』
そう。
何を隠そう、足に全く力が入らないのだ。
何が逃げなきゃだ。
そんなの最初から無理だった。
小さな刃物を振り回して威嚇する事しか私には出来なかった。
今、正直すごく、すごく…
超恥ずかしい。
私の言葉に、何も返事をしてくれない彼に不安になって少しだけ顔を上げるとポカーンと私を見つめる彼の姿。
そりゃそうなるよね!?
うん!!
知ってる!!
知ってたよ!!
威嚇していたくせに、立てないって!!
何言ってんだこいつってなるよね!?
『〜っ、』
私はもう羞恥に耐え切れなくて、手に持っていたものを下へ落として両手で顔を覆う。
穴があったら入りたいとはこの事だ。
あーもうほんとに!
今の自分の体を恨むよ!
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まあり(プロフ) - annkoさん» あああっ貴重な睡眠時間をっ…!?お礼を言っても伝え切れないです…!ありがとうございます!!お仕事、頑張ってください!! (2021年3月29日 16時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
annko(プロフ) - あれから睡眠よりも続きを!…と、全て読破させていただきました!午前中の仕事に若干支障が出ています(笑)。でもそれよりも、もうニヤニヤして最高の時間でした…煉獄さん本当にかっこよすぎです!更新楽しみにしています(^^)頑張ってください! (2021年3月29日 12時) (レス) id: 0cc2afaf00 (このIDを非表示/違反報告)
まあり(プロフ) - annkoさん» annkoさんはじめまして!あああっ…お暇がありましたらぜひぜひ読んでみてください!コメントありがとうございます…!嬉しいです!! (2021年3月29日 7時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
annko(プロフ) - こんばんは!はじめまして!素敵なお話をありがとうございます(^^) 煉獄さん…本当かっこよすぎて!お話の展開もとても好きです(^^)続きを全部一気に読みたいです!更新頑張ってください(^^) (2021年3月28日 23時) (レス) id: 0cc2afaf00 (このIDを非表示/違反報告)
まあり(プロフ) - まゆさん» わーーっ!!!嬉しいです!コメありがとうございます!とても励みになります〜! (2020年12月26日 16時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まあり | 作成日時:2020年11月29日 19時