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脅しているのだと分からないの?
この刃物が見えないの?
「大丈夫だ!君を酷い目に遭わせる奴は誰もいないぞ!」
何でそんなに笑っているの?
『っ…、』
「ほら!そんな所にずっといる気か?見た感じ、誰かに追われていたのだろう?」
どうしてそんなに…
「こちらへ来い!ほら!」
優しい声をかけるの?
彼はどこの誰かも分からない私に、その大きな手を差し出す。
ふわり、香ったのは太陽の匂い。
この人はもしかしたら良い人かもしれないと、そう直感でそう思ってしまう。
『…っ、』
「ん?」
『………あ、あなたは、』
「……?」
『っ!?』
誰なの、とそう聞こうとした。
だけど、一瞬だけチラリと見えた腰に下げた物を見て出しかけた手を引っ込めた。
『それって、』
「何だ?」
確かに、見えた。
彼の腰に下げているもの。
『…………か、たな』
私が小さな声でそう言えば、「あぁ、これか?」と羽織っているものを避けて私へ見せる。
『悪い…人なの…?何でそんな物…、』
普通なら持っていないはず。
しかもこんな風に堂々となんて…
「仕事柄、持っていなくてはいけないんだ!」
『し、仕事…?』
「あぁ!訳は話せないが、人を傷つける為に持ち歩いているわけではない!それは分かってくれ!」
赤い瞳が真っ直ぐに私を見つめるから、
嘘だなんて思えなくて。
黙ってコクリと頷く。すると。
「それと、気付いているか?ここは敷地内!君は多分誰のものでもない使われていない小屋だと思ったのだろうがここは俺の家の物置だ!」
そう言った。
『へっ、』
こ、この人の?
暗かったし、何より逃げる事に必死で気付かなかった…!
「ははっ!まあそれはいい!君の怪我が酷い!とりあえず処置をしよう!」
『え、で、でもっ、』
話していて悪い人ではない事は伝わったが、まだ不安が拭いきれていない私は彼の提案を拒否するように首を横に振る。
「でもじゃないだろう!そのままにしておくと危険かもしれないだろう!」
『っ、』
「家には俺以外誰もいない!気にする事はない!」
『でもっ、』
何を言っても首を横に振る私を見た彼は、若干困った様に眉を下げる。
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まあり(プロフ) - annkoさん» あああっ貴重な睡眠時間をっ…!?お礼を言っても伝え切れないです…!ありがとうございます!!お仕事、頑張ってください!! (2021年3月29日 16時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
annko(プロフ) - あれから睡眠よりも続きを!…と、全て読破させていただきました!午前中の仕事に若干支障が出ています(笑)。でもそれよりも、もうニヤニヤして最高の時間でした…煉獄さん本当にかっこよすぎです!更新楽しみにしています(^^)頑張ってください! (2021年3月29日 12時) (レス) id: 0cc2afaf00 (このIDを非表示/違反報告)
まあり(プロフ) - annkoさん» annkoさんはじめまして!あああっ…お暇がありましたらぜひぜひ読んでみてください!コメントありがとうございます…!嬉しいです!! (2021年3月29日 7時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
annko(プロフ) - こんばんは!はじめまして!素敵なお話をありがとうございます(^^) 煉獄さん…本当かっこよすぎて!お話の展開もとても好きです(^^)続きを全部一気に読みたいです!更新頑張ってください(^^) (2021年3月28日 23時) (レス) id: 0cc2afaf00 (このIDを非表示/違反報告)
まあり(プロフ) - まゆさん» わーーっ!!!嬉しいです!コメありがとうございます!とても励みになります〜! (2020年12月26日 16時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まあり | 作成日時:2020年11月29日 19時