ー ページ2
ー
そんな事を考えていた時。
「よもや!」
暗闇には似合わない、元気で大きな声。それでいてどこか温かさを含んだそんな声が響いた。
その人物はさっきの奴らみたくこちらへ近付いてくる様子も特にない。その代わりに聞こえてくるその人の声。
「音がしたから何かと思えば!女ではないか!」
『っ…、』
な、んだこの人…
ソレを握り締める手に力を込めてキッとその人を睨み上げていれば、目が慣れてきたのか少しずつその人が見えてきた。
月明かりに照らされるのは明るい髪。
整っている顔。
腕を組んで私を見つめるその瞳に吸い込まれてしまいそうだ。
この人は、誰だろうか…
も、もしかしてここに住んでいたりとか…
「はっはっは!!」
『っ!?』
急に響いたそんな大きな笑い声に肩を揺らすと、彼はそんな私を見てまた笑う。
「そんなに怖がらなくても良い!悪い奴ではないからな!」
悪い奴じゃ…ない…?
何言ってんの…?
そんなの、分からないじゃないか。
嘘ならいくらでもつける。
でも確かに今までの人と同じなら今にでも私を襲ってきそうだが…
いやいやいや!
「ん?何で頭を振ってるんだ?」
信じてはダメだと横へ首を振った私を見て首を傾げる彼は明るい髪を揺らして一歩、足を踏み出した。
『くっ、来るな!!』
その瞬間、私は手に握り締めていた小さめの包丁を彼に向けた。
ずっと一応持っていた。
いざという時、身を守れるように。
もちろん男の力に敵うはずがない事は知っているけれど、少しは怯むかなって。
だけど、彼の反応は私の思っていたそれとは全く違くて。
『それ以上近付いたらみろ…っ!!こ、ころしてやる…!!』
手が震え、喉がキュッと締まって痛い。
来るな来るな来るな。
それ以上近づくな。
やめろ。
これでもかってくらいに彼を睨み付ける。
……が。
「ははっ!そんなに怖がらなくても大丈夫だと言っているだろう?悪いようにはしない!」
彼はそんな私をまるで駄々をこねる子供を見るかのように、おかしそうに笑っている。
笑っているのだ。
ー
196人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まあり(プロフ) - annkoさん» あああっ貴重な睡眠時間をっ…!?お礼を言っても伝え切れないです…!ありがとうございます!!お仕事、頑張ってください!! (2021年3月29日 16時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
annko(プロフ) - あれから睡眠よりも続きを!…と、全て読破させていただきました!午前中の仕事に若干支障が出ています(笑)。でもそれよりも、もうニヤニヤして最高の時間でした…煉獄さん本当にかっこよすぎです!更新楽しみにしています(^^)頑張ってください! (2021年3月29日 12時) (レス) id: 0cc2afaf00 (このIDを非表示/違反報告)
まあり(プロフ) - annkoさん» annkoさんはじめまして!あああっ…お暇がありましたらぜひぜひ読んでみてください!コメントありがとうございます…!嬉しいです!! (2021年3月29日 7時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
annko(プロフ) - こんばんは!はじめまして!素敵なお話をありがとうございます(^^) 煉獄さん…本当かっこよすぎて!お話の展開もとても好きです(^^)続きを全部一気に読みたいです!更新頑張ってください(^^) (2021年3月28日 23時) (レス) id: 0cc2afaf00 (このIDを非表示/違反報告)
まあり(プロフ) - まゆさん» わーーっ!!!嬉しいです!コメありがとうございます!とても励みになります〜! (2020年12月26日 16時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まあり | 作成日時:2020年11月29日 19時