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「よもや!」
『へ、』
煉獄さんは料理の目の前まで一瞬で移動すると、目を大きくさせて私と料理を交互に見つめる。
「君が作ったのか!?」
『勝手に、すみません、』
「いや!それは全然良いんだ!すごく良い匂いがするな!美味そうだ!」
『少しでもお礼が、したくて』
「気にせずとも良いのに!」
そう言って座った煉獄さんは、笑顔で私を見る。
すごく、
すごく、見てるんだけど。
な、何だろう。
『ど、どうぞ。食べてください』
「?君も一緒に食べよう!」
『え、』
「何だ?」
『いいんですか?』
「当たり前だ!」
『……』
「……?」
『………じゃ、じゃあ、お言葉に甘えて、』
私は急いで自分の分のご飯を準備すると、彼の前のそこへ座る。
「いただきます!!」
『……いただきます、』
私はお箸とお茶碗を手に持ちながら、視線を煉獄さんへやる。
どう、かな。
不味くはないと思うのだけど、煉獄さんの口に合うだろうか。
煉獄さんはまず初めにお味噌汁の入ったお椀を持ち上げると、ゆっくりと口をつける。そして数秒後。
「うまい!!!」
聞こえたのはとても、大きな声。
「うまい!!!」
「うまい!!!」
「これもうまい!!!」
「全部うまい!!!」
順番に箸を運び、そう言ってくれる煉獄さんにホッと息をつく。
「料理がうまいんだな君は!!」
『いえ、そんな……でも良かったです』
「本当にうまい!!」
『ありがとうございます、』
何度もそう言ってもぐもぐと口を動かすちょっと幼く見える煉獄さんに、思わず頬が緩む。
生まれて初めて褒められたかもしれない。
美味しいだなんて、言われた事なかった私は素直に彼が言ってくれた言葉が嬉しい。
「君も食べろ!うまい!」
『ふふ、いただきます』
私も煉獄さんに続いて料理を口へ運ぶ。
あ、意外と美味しく出来てる。
良かった。
塩加減も良い感じだ。
こんなに喜んでくれるのら、煉獄さんが良ければまた作りたいな。
…なんて思ってる私の前で、少し安心したように眉を下げて私を見つめる彼の事は私は知らない。
「そういえば君の名前をまだ聞いてなかったな!」
『あ、Aです』
「そうか!分かった!Aだな!改めて俺は煉獄杏寿郎だ!よろしく頼む!」
『こちらこそ、よろしくお願いします、煉獄さん』
「うむ!」
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まあり(プロフ) - annkoさん» あああっ貴重な睡眠時間をっ…!?お礼を言っても伝え切れないです…!ありがとうございます!!お仕事、頑張ってください!! (2021年3月29日 16時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
annko(プロフ) - あれから睡眠よりも続きを!…と、全て読破させていただきました!午前中の仕事に若干支障が出ています(笑)。でもそれよりも、もうニヤニヤして最高の時間でした…煉獄さん本当にかっこよすぎです!更新楽しみにしています(^^)頑張ってください! (2021年3月29日 12時) (レス) id: 0cc2afaf00 (このIDを非表示/違反報告)
まあり(プロフ) - annkoさん» annkoさんはじめまして!あああっ…お暇がありましたらぜひぜひ読んでみてください!コメントありがとうございます…!嬉しいです!! (2021年3月29日 7時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
annko(プロフ) - こんばんは!はじめまして!素敵なお話をありがとうございます(^^) 煉獄さん…本当かっこよすぎて!お話の展開もとても好きです(^^)続きを全部一気に読みたいです!更新頑張ってください(^^) (2021年3月28日 23時) (レス) id: 0cc2afaf00 (このIDを非表示/違反報告)
まあり(プロフ) - まゆさん» わーーっ!!!嬉しいです!コメありがとうございます!とても励みになります〜! (2020年12月26日 16時) (レス) id: ff29d485fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まあり | 作成日時:2020年11月29日 19時