Episode.40 ページ44
数分後。
「ほら、着いたぞ。」
千切は腕の力を抜いて、スルッとAを地面に下ろした。
『あ、ありが…………ﾋｷﾞｬｯ!!』
目を開くと、薄暗い個室にほんのりと指す月明かりが不気味さを物語っていて、思わず声にならない悲鳴をあげる。
「……流石に女子トイレの中には入れないぞ？」
ほら、行けよ。とAの背中をペシペシ叩く千切。優しいのか冷たいのか、Aは温度差で風邪をひいてしまいそうだ。
『ああああぁの……だ、男子トイレでいいので…こ、個室前まで着いてきてぇ……』
Aは命乞いでもするかのように、必死に千切の服の裾を握りしめ、涙目で訴えかける。
「はぁ、しょーがねーなぁ。」
なーんかこの顔見るとほっとけないんだよなぁ。俺猫派なんだけど。と思いながらAの手を引き、男子トイレの個室前まで連れていく。『うぇあ、あぅ…』など変な泣き声(?)を漏らしながら着いてくるAを見て、少し可哀想だが口角が上がってしまった。
「さすがに中には入らねぇからな、ほら、さっさと行ってこい。」
『ぁう……はい。』
トイレの電気が自動で着いたからか、Aはさっきよりも顔色がマシになっていたが、それでもまだ青白い。渋々千切の手を離して個室に入っていった。
『か、鍵開けたままでいいよねぜったい置いてかないでね置いていったら末代まで呪ってやるんだからねほんとだから冗談じゃないからね？』
個室から顔をのぞかせ、呪文のようにつらつらと早口でそう述べるAに、千切ははぁ、とため息を漏らしながら適当に返事をした。
「はいはい、置いてかねーから安心しろよ。」
『絶対だからね！？！？』
Aはそう言うと、静かに個室のドアを閉めた。
＿＿＿＿＿＿
＿＿
『助かったよ千切くん……このご恩は一生忘れませんっ！！！』
無事にトイレを済ませ部屋に戻ることが出来たAは、すぐさま千切に跪いた。
「べつに、俺も寝れなかっただけだし。」
千切はそう言うとぷいっとそっぽを向く。それでもAは土下座を辞めないので、鬱陶しく思った千切はAの首根っこをつかみベッドにポイッと放り込んだ。
『ｳｹﾞｯ……』
「明日も早いんだしさっさと寝てろ。今日の事は貸しにしといてやる。」
千切がそう言うも、返事が返ってこなかったので布団の中を覗いてみると、ぐっすりと眠るAの姿が見えた。
「こいつ……」
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黒糖さまでーす - 良い (2023年3月29日 18時) (
レス) @page18 id: b07dd8e215 (このIDを非表示/違反報告)
もなか(プロフ) - りんごさん» コメントありがとうございます(；；)めっちゃモチベになりました…！これからも頑張りますので宜しくお願いします(*´˘`*) (2023年1月4日 2時) (レス) id: 708c48853c (このIDを非表示/違反報告)
もなか(プロフ) - りおさん» りおちゃんありがとうございます- ̗̀ ෆ( ˶'ᵕ'˶)ෆ ̖́-どんどん湧いてくるのでガンガン文字に起こしていきます……！！！もっと色んなキャラと会わせたいんですけどねっ！！ (2023年1月4日 2時) (レス) id: 708c48853c (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - 私このお話すごく好きです！めっちゃ応援してるので頑張って下さい！！ (2023年1月4日 1時) (レス) @page25 id: 6e1da832f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もなか | 作成日時：2022年12月24日 11時
