夏の花と君と僕～夏の夜の儚い夢～ (ページ16)

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第12話夜道ページ16

かな「えっ...でも..」
あ「俺が行くって言ったんだから遠慮するな。まず、女子をひとりで帰るのも気に食わねぇし」
正直嬉しい。ずっと憧れてたひとについてきてもらえるのも、今日みたいに満月の日は思い出す事とかもあるから人がいてくれると安心するし....
あ「なぁかな」
かな「うん？どうした？」
あ「おまえさぁ、1度何処かで会ったことねぇか？」
かな「えっ...うーんどうして？」
あ「俺さ、記憶喪失で中1の夏より前の記憶がないんだよ。でもお前を見た時に懐かしい感じがしたからもしかしたら1度何処かで会ったことあるんじゃないかと思っただけだ。」
記憶喪失....夏....嫌な思い出が蘇る...
あ「初対面の奴に言ってもしかたねぇよな」
悲しそうな笑顔...
かな「私も!!私も...ね？中1の時に事故にあって記憶喪失になったんだ...でもね私は日記をつけてたみたいで読んだらね、少しは思いだしたよ...」
あ「なんで、そんなにも悲しそうに言ってんだよ...記憶が戻っただけいいじゃねぇか...」
かな「それが自分の中でかけがえのないものならね...私にとっては消したい記憶だったのほとんどは...」
あ「ほとんど...」
かな「当時の私には好きな男の子がいたみたいでふられたんだって。ふられたのはあんまり気にしてないけど、もしも子の記憶が戻らなかったら次に好きになる人を初恋の人って思って幸せに過ごせたかなって思っただけ」
そんな話をしていたらもう家に着いてしまった。もう少し話したかったななんてわがままもほんにんには届かない。
かな「送ってくれてありがとう。また明日ね」
あ「おう。じゃあな」
ひとりで帰るあろまの後ろ姿はやっぱりあいつに似ていた。
「なんであろまと重ねちゃうのかな...」
そんな私の独り言も暗闇の中に姿を消した