検索窓
今日:51 hit、昨日:21 hit、合計:22,314 hit

9 ページ9

.




界人くんに似合いそうな濃い赤のスニーカー。頑張って選んで値段が可愛くないそれを綺麗にラッピングしてもらって、それを渡した時の彼を妄想するだけで

あっという間に時が経つ。




約束の時間に、見慣れた車が見えてきた。いつもみたいにハザードを3回点滅させて確信を得た私は

適当にコートも羽織はず、プレゼントを持って彼が車を降りる前に言ってやろうとクロックスで部屋を飛び出す。




向かいから来る人は、走っている私を不振な思いで見ているに違いないけどそんなのどうだっていい。




車が見えた。やっぱり彼の車だ。まだ30mくらい距離があるのに窓から顔を出して「なにしてんの!?」と彼から挨拶よりも先にその言葉が出てくるくらいには薄着だったらしい。

直ぐに車を開けてくれて飛び込むようにして乗った。暖かい。慣れ親しんだ芳香剤の香りのする綺麗な車内に、走ったせいで前髪も何もかもが重力に逆らってしまっている状態の私。




「来てくれてありがとう」

界人「ベランダにいるの見えたから気づくかなーって思ったら気づいたね(笑) すぐ居なくなったから来るのかなって思ったらほんとに来た(笑)」

「ありがとう。これクリスマスプレゼント。」





「ええ!?」鼓膜に感電したような痺れが出るんじゃないかって思ってしまうくらい大きな声で驚き、

“中が見たい”という気持ちが先導し、そのブランドのロゴが書かれたギフトシートをビリビリに破いてようやく箱を開け

中身を見た彼は手で口を抑えて、喜びを表していた。





何をするのかと思った。スニーカーの箱をまた戻し太ももの上に載せると、彼は私をグッと引き寄せて抱きしめてくる。
「超嬉しいわ、まじでありがとう」と後頭部を撫でてくれた。





シートベルトをつけてしまっていて、今の体制が苦しくて。
私はシートベルトを外してしっかりと彼の背中に腕を回した。いつもお疲れさま、そう言いながら。

後頭部を摩る彼の体温を感じつつ、未だに躊躇してしまうたった二文字の言葉をなかなか言えないまま

先に彼の方から「ほんと好きだわ」と言われてしまって顔が熱い。





こんなに喜んでくれるんだ。頑張って選んだ甲斐があった。
店員さんに話しかけるのも話しかけられるのも苦手なのに、彼のことを考えながら好みにあった靴を一緒に探して、買って、本当に良かった。

10→←8



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (45 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
189人がお気に入り
設定タグ:石川界人 , 男性声優
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

(名前)(プロフ) - はじめまして。コメント失礼いたします。Twitterにてパスワードを記載していただいてるとのことですが、Twitterの垢がわかりません。教えて頂くことは可能でしょうか? (3月24日 21時) (レス) id: c73f4a9637 (このIDを非表示/違反報告)
にむ(プロフ) - しーさん» 気づくの遅れてすみません🙇🏻‍♀️Twitterの固ツイにパスワード貼ってるので良かったら🙇🏻‍♀️ (2月25日 21時) (レス) id: d177642b92 (このIDを非表示/違反報告)
しー(プロフ) - こんばんは、コメント失礼致します。他の作品もぜひ読ませて頂きたいのですが、パスワードをお伺いすることはできますでしょうか、、。 (2月5日 22時) (レス) id: e0d56893a0 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:にむ | 作成日時:2023年12月29日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。