華 と 花 【成瀬大二郎】

１１．弾の気持ち ページ11

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そんなAの涙には誰一人として気づかずに、あす花は話を続けた。



あす花「私さ 寮母を始めた時に決めたのね？みんなを応援して自分のことを好きになって、自分に花丸を付けるってやつ。

寮母になって毎日楽しくてさ、本当にね たまに

“あっ、自分最高！花丸付けれそう！”って思えそうな時もあるんだ。ほら、自分の名前ってさ＿＿＿＿」


弾「“折れた心に花を咲かせられる人になる”だろ？高校ん時聞いた。」






そして、弾の言葉の後にAはあす花に注いで貰ったシャンパンを一口だけ飲んで「あす花さん」と呼びながらさりげなく涙を拭った。






「私、もうポキって心折れてたんですけどあす花さんのおかげで前向けてますよ。」

あす花「泣いてる……？私、Aちゃんに何も出来てないよ？」

「気づいてないとこで助けられてます。それって才能だと思うから。簡単に出来ることじゃないですよ」






泣いたAの涙を親指の腹で拭うあす花の表情はまるで母親のような顔で、それはよりAを安心させた。





「ブルーミーはおろか、メンバー言えてないような経験が沢山あるんですけどそれをなんというか、包み込んでくれるって言ったらわかりにくいけど

あす花さんがいるだけで助けられてるから、絶対に辞めないでくださいね。寮母。」


有起哉「隠すなよ！素直に言えよな！んな事で俺らみくびったりしねぇよ！」






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成瀬side



Aが感情をさらけ出して泣くのは、初めて見た。
契約更新した時も泣かずに笑顔満開で喜んでいたような、笑顔主義って人だから。






「契約更新しないって言われた時、終わったって思ったけどあす花さんが背中押してくれたおかげです。本当にありがとうございます。」

弾「Aは色々あったんだよ。でもこうして乗り越えてきてるから応援できる」

「事務所に入る前は本当色々ありましたよ。でも今じゃ美化できるくらいになったので」






メンバーが知らないことを弾が知っていて、やっぱりAは弾のことを1番に信頼していると言うことを痛い程痛感したけど

「色々あった」ってワードが引っかかりすぎてAにハンカチを渡しながら考えた。




「 俺にとってあんたはずっと、ずっとずっと最高だから！」って




あす花さんのために感情をむき出しにする弾をみてAの涙が別の涙に変わった気がした。





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