13.絶望的な片思い ページ15
｢なるせくん｣
｢ん？｣
手の力が緩んだ。シワになった布がその形を保っている。
少しの安堵。そばにいると安心するのに、ここまで私を心配させる人は初めてかもしれない。
｢私なるせくんのこと好きだよ｣
そう言ったら、こっちを見てくれる気がして。だけどなるせくんは俯いたまま私を見向きもしない。
期待した分だけ、がっかりする。ちょっとでも動揺してほしかったな。そしてあわよくば、って。なにを望んだ？
ついさっき、めいちゃんの事が好きなんでしょって微笑まれたのに。
絶望的すぎて、泣きたくなった。
｢好きって友達としてってこと？それはありがとう｣
｢ちが、｣
｢それ以外の意味を含むならその気持ちはいらないかな｣
冷めた目。私のことなんてまるで興味ないんだろうなと思わせられる。妙に説得力のある表情に、虚しさを感じた。
やっぱり私は特別じゃなかったんだな。ただの気まぐれ？それかあの時助けてくれたお礼に、みたいな。どっちにしろ自惚れていたことが恥ずかしくてしょうがない。
少しでも振り向いてもらえる気がして好きだと言った。その事実がもう既に消し去りたい記憶となっている。
さっきまで優しかったのに急に冷たい。なんで？
ああもしかして。これも優しさなのかな。期待させるような振り方じゃ逆に可哀想だもんね。だからこんな他人みたいな目で見てくるの？
そっかそっか、って勝手に納得。私がそうあってほしいだけ。なるせくんの私に向ける感情がそんなに軽くはないって思いたいだけ。
それにしても最悪な空気だな。ただでさえ気まずい雰囲気の中での告白。しかも木っ端微塵に振られて。玉砕？ だね。見事に砕け散った。
これからのプランも考えていないし、適当にショッピングするつもりでいたから沈黙は許されない。この前みたいに映画ならなんとかやり過ごせたのに！なるせくんも振ったばっかの女子と並んで歩かなきゃいけないなんてかわいそう！
自分がとんでもないことをやらかした事に今更気づく。
｢なるせくんごめん｣
｢ん？｣
さっきとは打って変わって優しい目で私を見る。
ほっと心が軽くなった。
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かとを74(プロフ) - 私 専用 誘拐犯の続編も気になりますし、正直この作品も素敵なのでっ続けてほしいです。 (4月5日 17時) (
レス) @page23 id: e7ab028975 (このIDを非表示/違反報告)
h - もし良ければこのお話を続けて頂きたいです (4月4日 2時) (レス) @page23 id: 721a3011a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鏡花 | 作成日時：2024年2月10日 11時
