その顔、大嫌い【宮侑】

しかめっ面 ページ23

やることが無さすぎ。京治も仕事いっちゃってるっていうよりみんな仕事だけど。兵庫に帰るまで残り１ヶ月ほどでこんなに時間経つの早かったっけ？と考えた。久々に髪でも切りに行こうかと思った。


首の中間当たりだったんだしの髪はここ一年で肩まで伸びた。いっそベリーショートにしちゃおうかななんて思いながら携帯の画面を眺めた。


髪を短く切ったらどんな顔するのかな。


短すぎても嫌だから頬あたりにかかるぐらいの長さにする。私は財布と携帯を小さなカバンに入れて家を出た。


「行ってきます」


いつもより日差しは眩しくて歩いていくのは面倒だった。








綺麗に髪の毛が切りそろえられ整った髪が風に揺れる。短くなったせいでどうも落ち着かない。私はお金を払い家に帰る。


そう言えば明日誕生日だった。


侑覚えてるかな。なんて考えながら歩く。距離をとるとか言っといて離れられないのは自分。勝手に自分で引き剥がしといて傷ついたのなんだの言ってる私はあほに近い。否、あほだ。


家の鍵を開ける。


すると家の電話の着信音が鳴り響いている。私はお母さんのことかと思い走って家の電話に向かった。電話を手に取り耳に当てる。


『私、XXXで』


「あ、いいです」


どこかのセールスだった。面倒だからきっぱり断り電話をおく。お母さんのお見舞いに行くためいつも通りプリンを持ってまた家を出た。そのまま行けばよかった。


「翔太郎、お母さんのお見舞い」


「俺も行く」


「早く準備して！」


するとまた電話がかかってきた。









「もしもし」


『綾郁さんのご自宅ですか？お母さまが危険な状態ですのでできるだけ急いできてもら』


「今すぐ行きます」


こういうのって間に合わないんだなあ。そう思うと思わず目からこみ上げてくるものが、床にシミをつけていく。


「姉ちゃん、」


翔太郎の声が聞こえて振り向く。


「早く行くんだろ、泣いてる暇あったらあと１分で来るバスに乗るぞ」


つくづくしっかり者な弟だと思う。

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