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オワタ。 ページ30

なんて冗談。

俺がそう簡単にやられるか。

Aに何回も押されてたら終わんねぇんだよ。

さっさと終わらせてやる。

Aは狂ってる。

あいつの思考を戻さなくちゃならない。

あいつが死んだ理由が俺らなら。

あいつが成仏できた理由を俺らにする。

それであいつも満足だろ。

Aは歯をギシリと鳴らした。

「死んでよ。死んでよ。私が報われなかった事に、罪滅ぼしをして。死んで。」

こいつに『落ち着け』なんて言葉は通じない。

全員後退りをして、俺から離れていく。

「俺が死ねばお前は満足か」

「そうだよ!!それで満足!」

「俺だけ死ぬのでいいのか」

「うん。お前が死ねばみんな悲しむ。」

ニヤリと笑うA。

ホント、狂ってやがる。

「じゃあ俺がお前を殺してからにするよ。」

「私は、死んでるよ。無意味だ」

「じゃあなんでここにいる?」

Aはピタリと浮遊していた体を止めた。

俺の手がヒンヤリとしてきた。

Aの目はだんだん黒く深くくすんでいく。

「私がここにいる理由は誰もがわかるはず」

「何となく予想はつくけど、きっとそれじゃすまねぇだろ?」

「……。」

Aは拳を握ってフルフルと震えていた。

Aの鼻が赤く染まっていく。

泣いているのか。

ポツポツと床に黒いシミを作る。

「だからっ君達が好きなんだよ。まだ、まだ、まだ、ずっと忘れられない
笑った日々とか、私にありがとうって言ってくれた時とか。本当の目的は信じてくれるだけでいい。
もうわかってくれたからいいよ。」

Aは笑った。

優しい笑い方で。

俺達を何故か安心させる笑い方で。

「ごめんなさい迷惑かけて。
ありがとう。大好きだ。」

Aの悪意は消えた。

A自身も消えた。

end→←オワタ。



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作者名:穀海* | 作成日時:2016年12月30日 17時

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