��(名前)side ページ38
綺麗な着物に、顔が見えないようにかけられた布切れ。
いつもより念入りに梳かされた髪の毛。
曽祖父は私を見ても何も言わなかった。
屋敷の使用人たちは私を憐れむような目で見た。
父は時間ばかり気にしていた。
母は私と目を合わせてくれなかった。
葉鳥は今にも泣きそうな顔をしていた。
A「葉鳥」
葉鳥「.......はい..」
A「ありがとう。守ってくれて」
葉鳥「私は....何もっ.....」
A「泣いてばっかりしとったらアカンで〜」
笑いながら葉鳥の顔を覗き込んだ。
葉鳥「A様の....お側にお仕えできて....幸せでした....」
A「......それは良かった！私も葉鳥が側におってくれて幸せやったわ」
曽祖父「時間や」
低い声に急かされて手を握っていた葉鳥から離れていく。
お堂の中に入って座れば、首や腕、足に紐がくくりつけられる。
A(こんなんせんでも逃げへんのに....)
そう思いながらも静かに従った。
今になって、あっ悟と花火するって約束したのにしてないとか、悟から電話はどうなったんやろうとか、色々思い浮かんできて。
A(大丈夫、大丈夫)
あの時、葉鳥の手をとって逃げていれば、悟に「助けて」と言っていればこの結末は変わったのだろうか。
いや、違う。正解は自分で決めなきゃいけない。
この結末が私にとっての正解だと、思わなければ。
私はこれから常に術式を発動するような形になる。
たくさん苦しい思いをしてきたからか、耐性がついて長時間呪力を消費しても何も副作用は起こらなくなった。
先生が焦って短時間に何回も私に術式を発動させてたのはこれのためか...と今になって分かった。
術式を発動してから目を閉じるまで、私の前にいる人たちを眺めた。
曽祖父は私を見て頷いた。
屋敷の使用人たちは私を変わらず憐れんだ目で見た。
父は私を見てすぐに目を逸らした。
母は私を見て呆然としていた。
葉鳥はボロボロ涙を流して泣き崩れていた。
A(やっぱり最後にもう一回声聞いとくべきやった....)
長く眠る間くらい、幸せな夢を見させて欲しい。
戸が閉められるのと同時に目を閉じた。
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いちごパフェ(プロフ) - 君死勿さん» 君死勿さん！そう言っていただけて嬉しいですありがとうございます😭読んで頂きありがとうございました☺️ (8月29日 21時) (
レス) id: 294d751c54 (このIDを非表示/違反報告)
いちごパフェ(プロフ) - ふゆねこさん» ふゆねこさん...！ありがとうございます｡ﾟ(ﾟ´ω`ﾟ)ﾟ｡ (8月29日 21時) (レス) id: 294d751c54 (このIDを非表示/違反報告)
君死勿 - 京都弁も物語の書き方も何もかもが完璧で素敵でした…、号泣してしまいそうです・・・。 (8月29日 14時) (レス) id: f169115c31 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆねこ(プロフ) - 泣いた！すきですぅ、泣泣 (8月29日 14時) (レス) @page45 id: cd0c30d1f0 (このIDを非表示/違反報告)
いちごパフェ(プロフ) - 翠晶さん» 翠晶さん！こちらこそ最後まで読んで頂きありがとうございます..！！ (8月28日 20時) (レス) id: 294d751c54 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いちごパフェ
| 作成日時：2023年8月19日 21時
