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車を走らせて1時間。
なんだか高級感溢れる土地に、無惨さんの愛車は停められた。
「む、無惨さん…私場違いな気しかしません…」
私はなんと言っても女子高生。
涼しげな潮風が吹いて、綺麗な建物たちがずらりと並ぶ場所に立っていると、
いくらお洒落した格好をしていたとしても、縮こまりたくなる。
「そんなことは無い。私の横に立ってみろ、それだけで十分だ。」
すこし悪戯な笑みを浮かべて無惨さんは言った。
この人も、ジョークとか言うんだ…。
そんなことを考えていれば、いつの間にか手を引かれてこれまたお洒落なドアが開いた。
近代的な自動ドアもいいが、手動のドアには心躍る演出が待っているように感じる。
無惨さんが引いてくれたドアの向こうには、煌めく照明とシックな内装、落ち着いたクラシックがお出迎えをしてくれていた。
どうやらここは雑貨店のようだ。
アンティーク調の小物や、大正ロマンを彷彿とさせるアクセサリーがたくさんある。
お店の雰囲気と相まって視界に入る全てのものが魅力的だ。
「以前、琴枝は雑貨を見るのが好きだと言っていただろう。」
「流石ですね…」
連絡をとる中で、1度だけ雑貨を見るのが好きだと零したことがあった。
まさかそれを覚えてくれていただなんて。
不覚にもときめいた。
ついこの前まで不審者扱いをしていた人物に、ここまで絆されているなんて、過去の自分が見たら卒倒しそうだ。
ふと、ある髪飾りが目に止まった。
スチームパンクテイストの技巧に優れたフォルムと、桜の花びらの飾りがマッチしている。
欲しいなあ、と思いつつも、年季が入っているのか値札の桁が多かったので諦める他なかった。
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作者名:白桃。 | 作成日時:2020年1月31日 22時