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家の鍵が閉まったことをしっかりと確認して、アスファルトへ足を踏み出す。
風は無いものの、朝特有のひんやりとした空気による爽快感がたまらなかった。
きっと今日はいい日なのだろう。
10分ほど歩みを進めて、もうすぐ学校、という所で私は見ず知らずの人に声をかけられた。
その男性は、珍しい赤色の瞳がこぼれ落ちんばかりに目を見開いていた。
きっと私も同じような顔をしているのだろう。
なんでかって、初対面の筈なのに不思議と懐かしさを感じたからだ。
しばらく見つめあってから、自分より幾分も背が高いその人は見開いていた目を瞬かせて、落ち着き払った声音で言った。
「じろじろと見てしまってすみません。知り合いによく似ていたもので。」
──お名前を教えて頂けませんか?
普段なら絶対に無視してしまうような怪しい質問に、なぜか馬鹿正直に答えてしまった。
「…琴枝です。」
「!」
本当に不思議だ。
この人の声を聞いていると落ち着いて、涙が出てくるくらいに嬉しいような気持ちになってしまう。
“鬼舞辻”と私の後に名乗った人の後ろにある青信号が心做しか涙で滲んだ。
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作者名:白桃。 | 作成日時:2020年1月31日 22時