8 ページ8
「えっ…会社の番号って、あなたがお勤めになってるところってことですよね?」
「ああ。」
「でも、電話に出た女の人は鬼舞辻って社員は居ないと言っていましたよ?」
鬼舞辻なんて苗字そうそう居ないですし。
言ってから、質問ばかり繰り返してこの人のことを知りたいみたいじゃん、と恥ずかしくなってきた。
「…訳あって本名は使っていない。」
─────鬼舞辻という名は数少ない信頼のおける奴にしか教えないからな。
鬼舞辻さんは、にやりと言う効果音が似合う、不敵な笑みを浮かべた。
……え?
この人私のこと信頼のおける奴って言ってるってことだよね?
ほぼ初対面なのに…?
「私とはほぼ初対面なのに、だとでも言いたげだな琴枝。」
「そりゃそうです!私みたいな平凡な女子高生のどこが信頼出来るんですか!!」
あまり目がいかなかったがよくよく見みれば、鬼舞辻さんはとても良質な生地のスーツと革靴を身にまとっていて、どこぞの社長さんみたいだ。
そんな人がなんで?
…ますます怪しくなってきた。
そんな心の声が何となく出ていたのか、目の前の男は当たり前かのように私をエスコートしながら歩き出した。
「まず、私には前世の記憶というものがある。」
────にわかには信じがたい話だがな。
5人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:白桃。 | 作成日時:2020年1月31日 22時