我々国へ 1-1 ページ7
私を抱えたままだというのに、男は物凄い速さで会場の外へ出た。
「待て！娘をどうする気だ！！」
お父様の叫び声が聞こえる…が、追っては来ていないようだ。
「…なぁ、抵抗とかせんの？」
「で…ない。」
ああ、まだ体が痺れているせいか、口がうまく動かない。
「…？何、喋れへんの？」
「…。」
肯定の意味で首を少し縦に振る。
「そっか…。」
それからは会話もなく、目的地まで抱えられていた。
「ゾム、終わったんか！」
大きな声の男(見えないけど多分コネシマ)が馬車の近くで待機していたようだ。
「いやぁ〜、楽勝でしたよ！」
「にしてもその姫さん、生きとる？動いてなくない？」
「…。」
「なんか動かれへんっぽいねん。」
「なんやそれ？まぁ、俺はここで待機してる間に顔とか声が知られとるし、後はゾムとトントンに任せるわ！」
そう言うや否や、コネシマ(多分)は別の馬車に乗って先に行った。
「じゃ、俺らも行こか。」
馬車の中にはトントンが先に乗っていて、ゾムは私を先に乗せ、自分とトントンで私を挟むようにして座り、馬車は発車した。
「…。」
我々国に攫われるのは分かっていたけど、体の痺れや、お父様の言っていた〈計画〉のことが気になるな…。
「なぁ、まだ喋れへん？」
突然、ゾムに話しかけられる。もしかすると、今まで気を使わせていたのかもしれない。
「すこし、なら…。」
「お、さっきより行けるな。じゃあ少し話そうや。」
「喋れへんって？」
トントンが怪訝な顔で聞く。
「会場でそれまで普通やったのに急に動かんくなったんよ、なぁ？」
「はい、多分痺れ薬、で…。」
「「痺れ薬？」」
今度は二人揃って怪訝な顔をされる。
それから私は、薬のせいでたどたどしくではあるが使用人の話や家族との関係性を話した。
「…なんか、凄いなぁ。」
「一国の姫となると、多少の大変なことなんかはあってもそのレベルは中々ないやろなぁ。」
「申し訳ありません、初対面でこんなことを…。」
「いいえ、これから一緒に過ごすわけですし、気にせんくていいですよ。」
「そうそう、家族に嵌められたってことやろ？そういうやつ我々国にもおるし、これから楽しくやっていったらええやん！」
なんか、誘拐された側とした側とは思えない会話だけれど、前世で我々だ！の動画ばかり見ていたせいかな、二人の声にとても安心してしまった。
「…ありがとう、ございます。」
いつの間にか薬の効果も切れて、安心した私はそのまま揺れる馬車の中で眠ってしまった。
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りんか(プロフ) - 加藤さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！！頑張ります！！ (2020年1月16日 23時) (
レス) id: 9d47de4481 (このIDを非表示/違反報告)
加藤(プロフ) - とても続きが気になるお話で、見入ってしまいました！！！更新を楽しみにお待ちしております！！ (2020年1月15日 13時) (レス) id: 0bfcc62a2f (このIDを非表示/違反報告)
りんか(プロフ) - ゆきなさん» ですね！教えていただいて助かります！ (2020年1月8日 23時) (レス) id: 9d47de4481 (このIDを非表示/違反報告)
りんか(プロフ) - 琴律さん» 動画サイトでのチャンネル名などがフューラー表記でしたので一応フューラーが正しいのかなと思い急いで訂正しておきました！お優しいお言葉ありがとうございます！！ (2020年1月8日 23時) (レス) id: 9d47de4481 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - グルなんちゃらは苗はフューラーっす！ (2019年12月29日 1時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りんか | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/943dc2385b1/
作成日時：2019年3月21日 21時
