【03】 ページ34
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流しに皿を置く音でハッと我に帰る。
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ーーー…『かずさん！』
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ニコニコと笑う、Aはもういない。
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和也「…なんでいないんだよ」
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Aが眠りについたのは、1ヶ月前のことだった。
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もう白髪も生えた、そんな頃。
孫のリコの誕生日はまだ4ヶ月も先なのに、Aは『なにあげよう』っておもちゃ屋さんのチラシを眺めてたりしたのに
俺の目の前で倒れたAは
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俺に病気のことを、隠していた。
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和也『バカか！』
『…ごめんなさい…』
和也『アホか！』
『あ、あほじゃ』
和也『俺が隣にいたからいいけど、俺が仕事行ってたらどーすんだよ！死んでたかもしんねえんだぞ！』
『……かずさん…』
和也『お前は昔からそうだよ、勝手に自分で溜め込んで。俺は何のためにいんだよ』
『…あの』
和也『お前を守るためにいんだろ！』
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白い病室で、ベッドに寝かせられたAを震える手で抱きしめれば
ごめんなさい…とか細い声で俺の背中に手を回した彼女。
彼女の体は、確かに細かった。
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Aがいない世界なんて考えられない。
Aが隣にいるのがいつのまにか当たり前になっていて
それは俺の日常であり、酸素で。酸素がなきゃ人間は死ぬ。
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彼女はもう末期で
手遅れで
もう残りがないと言われたのは、その後。
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そのことを彼女は悟っていたから
きっと俺に言わなかったのだと考えたら、俺の胸は本気で破けるんじゃないかと思った。
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Aの入院を聞きつけた、櫻井や大野、彩音に葉月さん。リコや夏実も何度かお見舞いに来てくれた。
その時のAはものすごいニコニコしてた。
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でも、ある日の夕方。
窓の外を眺めて、夕日を眩しそうに目を細めたAはどんな女より綺麗で
そのまんまいなくなっちゃいそうで
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和也『A』
『あ…かずさん』
和也『本、持ってきた』
『ありがとう』
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優しく微笑むA。
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いなくなるんなら。俺の前からいなくなるのなら
俺も一緒に連れて行けと
本気でそう願った。
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璃央(プロフ) - ぷらとにっく……?? (2020年9月8日 16時) (
レス) id: 65b6f7becf (このIDを非表示/違反報告)
N(プロフ) - あらしおりさんの作品全て大好きです。最愛の人の場合は涙が、、、虹やそれはやっぱり君でしたも合うんですが焚吐さんという方の魔法使いという曲が相性がいいなと思いました。皆さんぜひ聴いてみてください。(曲紹介でごめんなさい) (2019年11月12日 21時) (レス) id: 80d05f879c (このIDを非表示/違反報告)
里奈(プロフ) - あらしおりさんの作品いくつも読ませてもらいました！どれも本当に大好きです。特にこのハロハロは大好きで何回も読ませてもらってます。続編のMyDirlingは本当に号泣してるくらい感動してます。これからもあらしおりさんの作品愛読させていただきます！ (2019年8月19日 22時) (レス) id: 2c13f38b1a (このIDを非表示/違反報告)
Mt.Wind Bell(プロフ) - 悲しくて悲しくて痛いです涙が本気で止まらないです痛いです胸が(TT)私語彙力無くて伝えたい事まとめられないのですが、本当に、素晴らしい作品ですね、、こんなにも感情操られちゃって嫌になります笑コメ見て頂けてるか分かりませんが、何というか、感謝でいっぱいです (2019年2月5日 1時) (レス) id: 4eba5a31cc (このIDを非表示/違反報告)
涼杜兄妹(プロフ) - こちらでもお邪魔します。あらしおりさんの作品ほーんとうに大好きです。今回のにの編、出勤途中に読んでたんですけど、バスの中で隠れながら泣いちゃいました。最後までお互いが愛し合った2人。悲しいけど、最後までありがとうって思えました。もう、ほんと大好き！ (2017年11月6日 17時) (レス) id: 400e48a6ce (このIDを非表示/違反報告)
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