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「神父さまもきてたんだね。……どうかした？」
「……いや」
なんとなく気まずい雰囲気になる。
神父さまは少し不機嫌な様子だった。
「お嬢さん？どうしたの、はぐれたら大変だよ……って、知り合い？」
戻ってきたみぞれ口は、私と神父さまを交互に見た。
神父さまを見て、不思議そうな顔をしている。
「神父さまだよ。昨日の教会の」
「あぁ、神父様。……会ってないけど、昨日はお世話になりました」
みぞれ口は俗に言うゲス顔というやつで神父さまに挨拶した。
それに対して、神父さまは更に不機嫌になったようで眉間のシワが深くなる。
神父さまはジロリと睨みつけるようにみぞれ口を見つめた。
「えっと、こっちはみぞれ口。昨日送ってったって言った人がこの人」
「……あぁ、そうだろうな。……芸人か？」
「よく分かりましたね。神父様は観察するのも得意なんだ」
挑発的なみぞれ口。
あんまり神父さまを怒らせないでよ、と内心ハラハラしながら見ていると、神父さまに腕を引かれる。
イライラしているのだろう、神父さまの顔は目つきが悪いことも相まってすごい形相になっていた。
「行くぞA」
「えっ。ちょっと待って神父さま！」
ぐいぐいと神父さまに引っ張られ、みぞれ口のいる方向とは別の方向に歩き出す。
……みぞれ口に街案内するって言ってたのになぁ。
ごめんなさいと一言謝ろうとみぞれ口の方に顔を向ける。
「ちょっと神父様？俺、Aに街を案内してもらおうと思ってたんだけど」
私の手をがっちり掴んでみぞれ口は笑いながら言った。
笑いながら、と言っても、怖さを感じるような笑顔だ。
……あれ。そういえば、みぞれ口いま私の名前呼んだ？
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作者名：無機物 | 作成日時：2017年3月24日 20時
