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…PM 6:56
《あ、もしもしお母さん?友達ん家ついたよ、うん、
わかった〜お母さんも気をつけてね。うん、じゃあね〜》
ピッ…。
はあ、疲れた・・・。
ぐつぐつと煮つまる鍋の中身を見つめながらそう思う。
私は上京したての22歳。九条A
つい最近まで漫画専門学校に通って3年。卒業してから小さい頃からの夢だった念願の
上京が決まった。
新しい家は同じ専門学校に通ってた二つ上の永倉李澄(ながくらいずみ)先輩のアパート。
家賃8万円の割には住み心地がいい…。らしい。
李澄センパイのあだ名はいずcセンパイ。
入学した同時の自己紹介からいずcセンパイで通っていて今ではそのあだ名で呼ばないと違和
感があるくらい定着している。
いず©センパイはプロ漫画家で卒業後、すぐデビューが決まり、今ではもう漫画家の中では有
名パイセンになっている。
と考えてみると、私って結構美味しい立場なんだなーって時々思う。
いず©センパイは、出来立て原稿を見せてもらえるほか、トーンやベタの練習や漫画業界の事
をいろいろ教えてもらえるというかなりいい条件つきで私をアパートにいれてくれた。
でも・・・・・。
何…。この状況…?
ここに来て一週間。わたしはここの家政婦にでもなったのだろうか。
「ごめんね〜、Aちゃん。何から何まで悪いね」
「いえ、大丈夫ですかけど…。」
まさか、いずcセンパイがこんなにも家事ができない人だったなんて…。
あ、うち家事とか苦手なんだ…。とは聞いたことがあるけど、ここまで…。
「いずcセンパイって家事やった事とかないんですか?」
「うん、ほとんど。」
こたつの上で原稿やトーンを広げて忙しそうに作業に没頭しているのはいずcセンパイ。
「はーい、鍋で来上がりましたから机の上片付けてくださーい」
「リョーカイ!」
するとしいずcセンパイはこたつの上のものをバサバサと片付けはじめた。
片付いたこたつの上に鍋を置いてふたを取って見せた。
「おいしそう♪」
いずcセンパイは箸と茶碗を両手に、もう鍋をつまもうとしていた。
「いずcセンパイ、〆切りっていつですか?」
「2月の27日」
27日…。あと、6日か…。
「でー、そっちはどうよ?」
「んー、まだ分からないです。」
「そっかぁ、漫画の応募はいつしたの?」
「もう一ヶ月も前です」
「じゃあもういい頃じゃない?そろそろ編集部から電話がかかって来てもいい頃だと思うよ」
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、 - オリジナルフラグ外して下さい (2018年2月2日 8時) (レス) id: 7e3d40fbf4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミコト | 作成日時:2018年1月12日 20時