445.side降谷 ページ7
怖かった
捕まるかもしれなくて、でも父親の死の理由が知りたくて。
父親の死に関わったそれを野放しにする訳にはいかなくて。
俺以外に出来る事じゃない。
やらなくちゃ。
でもやってる事はいつか捕まることで。
ボロボロと彼の口から吐き出されたその言葉に、やはり相当溜め込んでいたんだろうと息をついた。
相槌を打ちつつ、そっと背中を叩いてやっていれば少し落ち着いたらしい彼は恥ずかしそうに顔を少し赤くしながら俺の肩から顔を上げた。
まだずるずると鼻をすすっているものの、話をできる程度に回復した彼は、居住まいを正してから口を開く。
「えー、大変お見苦しい物をお見せしてしまいましたが。先程も申し上げました通りこの件で貴方にメリットはどこにも無い。それでも、いいのですか?」
「メリットならあるさ。君は俺の宝物を守ってくれたからね。この間も、今回も。また、守ってくれるかもしれないだろう?
それに、君の技術は本物だし素晴らしい。君が協力者になってくれると嬉しい。
先程も言ったように、君はまだ守られるべき子供だ。その行動は君が望んで行っているものであったとしても、俺は君を守りたい。俺が無くせるはずの後悔をする様な未来を作って欲しくないんだ。
だから。
...俺の、協力者にならないか?」
緩く、3つ子に...子供に向けるような笑みを浮かべて彼を見れば、彼はぎゅっと握り拳を作って自分の袖で乱雑に顔を拭った。
そして、モノクルや帽子を全て取り去り90度に頭を下げる。
「よろしく、お願いします。」
「頭をあげて?ほら、改めて自己紹介をしよう。それからサインも忘れないで。」
諭すように、柔らかい声を意識してそう声を掛ければ、ゆっくりと顔を上げた彼がすぅ、と息を吸った。
「月下の奇術師、怪盗キッドこと、江古田高校2年、黒羽快斗です。これからよろしくお願いします!!」
涙のあとが残る顔に、笑顔の花が咲いた。
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すず(プロフ) - 更新待ってます (4月20日 17時) (レス) id: 2af65047db (このIDを非表示/違反報告)
しろ - 感動。 3子ちゃん尊い (3月12日 21時) (レス) @page35 id: 1bd364c53c (このIDを非表示/違反報告)
TAKE - こんなに最高で泣ける作品初めてです!頑張って下さい!! (7月8日 0時) (レス) @page35 id: 20d3cc00b9 (このIDを非表示/違反報告)
ユナ@前垢消えた(プロフ) - 神作品をありがとうございます。、、。、、、おかげで涙が止まりません、、、、尊いのをありがとう (5月14日 13時) (レス) @page35 id: 0e552ce067 (このIDを非表示/違反報告)
ねこ(プロフ) - はじめまして、2月に入りこちらの作品を見つけ、ようやく最終更新まで読み進められました…!続きを楽しみに待っています! (2023年2月4日 2時) (レス) @page35 id: 240298aea3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:真紘 | 作成日時:2019年1月1日 21時