444.sideキッド ページ6
「手元の紙を見て。」
重い沈黙を破った降谷さんは、突然そう切り出した。切り出された俺は手元に渡されていた2枚の紙を並べてその1枚に首を傾げた。
「はは、なんだ?って顔してるね。まず、分かるだろうけど左の紙は、君のことを調べさせて貰ったからその内容。そして右の紙は、君のサインが必要な紙だ。
俺の協力者になる為に。」
「っ!?!??」
「3つ子を助けてくれた事があっただろう?その時から、君は盗むのが楽しいという理由で怪盗をしている訳ではないのだろうとふんでいた。そしてもし、その理由が私欲でないのなら。君を、協力者にしたいと。
そこの書類、日付は君が2代目怪盗キッドとして現れた日を記入してある。それに君がサインしてくれれば、君は当初から公安の協力者としてパンドラを追っていたとされるし、これから先万が一の事が起きてもこちらで対応することが出来る。
サイン、してくれないか?」
「...んで...なんでそこまでしてくれるんだ!?俺はっ...!!」
最悪の事態、なんて。
覚悟を決めてやっていた。父さんの後を継ぐと決めた時からずっと。
...父さんは公安の協力者だったという過去は理解した。でも俺も協力者にしてくれようとする理由がどれだけ考えても分からなかった。
唇を噛んで下を向けば、ガタリと音が聞こえて降谷さんが席を立ったのがわかった。それと殆ど同時にふわりと横から抱き締められる。
「黒羽、快斗くん。良くここまで1人で頑張った。君はもう、1人でそれを背負う必要はないんだ。俺が、俺達が一緒に背負おう。
君は、まだ子供だ。大人の俺達を頼ってくれていいんだ。だから、な?」
くしゃりと頭を撫でられて、何かが頬を伝うのがわかった。それは、父さんが死んだ時以来ずっと堪えていたもので。
一度決壊してしまえば止めるすべはなく、俺は降谷さんの肩を借りて溜めていた物を吐き出した。
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すず(プロフ) - 更新待ってます (4月20日 17時) (レス) id: 2af65047db (このIDを非表示/違反報告)
しろ - 感動。 3子ちゃん尊い (3月12日 21時) (レス) @page35 id: 1bd364c53c (このIDを非表示/違反報告)
TAKE - こんなに最高で泣ける作品初めてです!頑張って下さい!! (7月8日 0時) (レス) @page35 id: 20d3cc00b9 (このIDを非表示/違反報告)
ユナ@前垢消えた(プロフ) - 神作品をありがとうございます。、、。、、、おかげで涙が止まりません、、、、尊いのをありがとう (5月14日 13時) (レス) @page35 id: 0e552ce067 (このIDを非表示/違反報告)
ねこ(プロフ) - はじめまして、2月に入りこちらの作品を見つけ、ようやく最終更新まで読み進められました…!続きを楽しみに待っています! (2023年2月4日 2時) (レス) @page35 id: 240298aea3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:真紘 | 作成日時:2019年1月1日 21時