変わった形 (ページ2)

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ki side

閉じられた藤ヶ谷さんの部屋のドアをしばらく見つめドキドキうるさい心臓に手を当てながら自分の部屋に戻る。

相変わらず荷ほどきの終わってない部屋は汚くてさっきまでの俺なら挫けてたんだろうけど、

藤ヶ谷さんと話した今はなんでもできる気がした。

男相手にあなたと話したからなんでもできますなんて気持ち悪いとしか思わないんだろうけど、

男子校に通っていたせいかなんか割とすんなり藤ヶ谷さんへ一目惚れしてしまったかも知れないという事実を受け入れてしまっていた。

ただきっと初対面でしかも男にイケメンだなんて言われるなんて気味悪いとしか思わないだろうな、

嬉しいなんて言ってたけど社交辞令的なもんで実際なんだよ急に、なんて思われてたんだろうな、

っていう思いとあんだけイケメンなら何人も同じようなこと言われてんだろうから大丈夫だろ

って変な自信を持っていい方にいい方に持っていってる自分にずるいなと感じる。

つかなんでこんな藤ヶ谷さんばっか考えてんだよ！

本気で堕ちちまったか？と考えながら藤ヶ谷さんを忘れれるように

「よし！がんばるぞ～！！」

と気合を入れ直し荷ほどきの続きをはじめた。

その数ヵ月後に全ての環境が変わってしまうこと、

藤ヶ谷さんがいい人のお面を被った殺人鬼であることなんてしらずにこれから先始まる新しい生活に胸をときめかせてしまっていた。