強気な王女と6人の仮面王子(WT) (ページ6)

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Aside

恥ずかしげに俯く彼は、意を決したように口を開いた。

「ですから、つまり俺はその…ひ、姫様と！お近づきになりたかったんです！」

心底恥ずかしいと言わんばかりの様子で伝えてくれた彼には悪いが、正直現実味に欠けすぎててすぐに返事ができない。どストレートすぎる思いの直球玉に、背中に嫌な汗が流れている気さえした。そのまま返事に困っていると、

「でも、今のままじゃ姫様も困ってしまいますよね。でも俺、他の奴らには敗けたくないんです」

『え、えぇ…？』

曖昧に1度返事をしてみるが、これが正解であったかどうかは分からない。混乱しすぎてもう何がなんだか。じっと目の前の彼を見つめることでしか真摯な思いを伝えられそうになかった。

「ですから、姫様…俺と、お友達になってください！」

突然ガタリと席を立った彼を見てびくりと肩を揺らすと、切羽詰まった声とともに右手を差し出される。

…え？

『お友達…？？』

もう婚約者だとか、男の人は苦手だとか、そんな気持ちはどこかへ追いやられてしまっていた。
＿＿友達。私がずっと欲しくてやまなかったもの。どんなお金でも買えなかったもの。憧れを止められなかったもの。そのチャンスが今、目の前に…？

『なりましょう！！お友達！！』

「っええええ！！！本当ですか！！？」

同じく席を勢いよく立ち、ガッシリと彼の手を握る。今、人生で一番生き生きとしている瞬間だと思う。それくらいに今の私は浮き足立っていた。

『ええ、勿論！私、ずっと友達が欲しかったの！』

そう言って彼の手を握ったままブンブンと手を上下に振ると彼は赤くなりながらあうあうとされるがままになっている。可愛い。

＿＿しかし、はたと気づく。突然止まった動きに、彼が「姫様…？」と心配そうに声をかける。が、そんなものは届いていなかった。

『と、友達って、何するのかしら…』

そう。問題はそこだった。物語で語られるものは城下町を散策とか、公園で遊ぶとか…
でも私たちは王族で、こと王宮から出られない。その中で一体どれだけのことが出来るだろう。そうぐるぐる考えていると、

「んっふ……あ、ごめんなさ、ふふっ…あはは、」

急に笑い出す彼。なんなんだ、と疑問を胸に抱えつつも、その笑い声があまりにも楽しそうで、飛んで跳ねる柔らかなボールのようで、思わず固まってしまう。