強気な王女と6人の仮面王子(WT) (ページ5)

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Aside

彼が話しかけてくれたおかげで、私も幾分か冷静に彼の姿を見れた。
彼の来ている服は白を基調としたレースアップシャツに、金糸がアクセントになっているベスト、ひらりと涼しげに揺れるサテン生地のマントは鮮やかな水色だ。
全体的にふわりとし色使いとシルエットに、なるほどあの声と合わせてみるとなかなかに可愛らしいのではないのだろうかと思う。
少なくとも私よりレースが似合っているよ。悲しいことにね。

そんなことを考えながら眺めていると、彼が恥ずかしそうに下を向いているのがわかる。
なんでわかったかって？髪の間から見える耳が赤かったからかな。

『ごめんなさい、ジロジロ見すぎてしまったわ』

コホン、と咳払いをひとつして謝ると、

「いえいえそんな、俺なら大丈夫です。」

と模範解答のような答えが返ってくる。
なんだかんだもう絆されているような気もしなくはないが、別にこの男がいい人かそうでないかと婚約をするかしないかは別問題なので多分問題ない……多分

「それで、先程の話に戻りますと…その、姫様の言うことは仰る通りだと思います。急に来た6人の王子を婚約者、しかも全員仮面をつけてるなんて、ましてやその中から選べなんて言われても困ってしまいますよね。」

そう言われて毒気を抜かれてしまう。なんだ、めっちゃ常識人じゃん。だってほら、あるじゃん。自国に取り込むために結婚とかさ。ああいうのじゃないの？え？
そう困惑していると、彼が口を開いた。

「俺、姫様のお姿を、1度だけ見た事があったんです。」

『え？』

唐突な話の流れについていけず、思わず間抜けな声を出してしまう。

「俺が8歳の頃にあった、アバルシュナ建国記念祭の日でした。」

『ええと…ごめんなさい、記憶にないのだけれど』

「ええ、そうでしょう。だってあの日、話しかけることも、ダンスを申し込むことも、貴方の視界に入ることさえ、臆病な俺にはできなかったのです。」

どこまで驚かせるんだろうか。と思わず目の前の水色の仮面の彼を凝視してしまう。まさかそんなことがあったとは。

「だから俺、今回姫様が婚約者を探してるって聞いて、いてもたっても居られなかったんです。…まぁ結局、望んではいなかったようですが。」

『えぇ、そうね。国王が勝手に決めたことだわ』

あの王は私が婚約を望んでいると言ったらしい。あほか。やっぱり最低だ。

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