強気な王女と6人の仮面王子(WT) (ページ4)

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水色の王子ページ4

1晩眠っただけなのに、もう朝が来るって理不尽すぎるでしょう。

こちらの方が理不尽だなんて分かりきっているけれど、そう思わずに居られない。
今日はシエル王国のnakamu王子、あの水色の仮面の人。
というかずっと思ってたんだけど、あの色つきの仮面ってなんなんだ。しかも全員奇妙な笑顔を浮かべている仮面だし。なんなの、お前ら仲良いんか？と少々口が悪くなっても仕方ないと思う。本当になんなの。

そう悶々と考えているといつの間にかドレスアップは完了している。…好きじゃないんだけどな、こういうの。
鏡の前でふんわりとしたフリルとリボンが贅沢に使われた可愛らしいドレスの裾をぎゅっと掴む。
本当はこんな服着たくない。けど、お父様の言いつけだから仕方ない。

そう考えて口をきゅっとつぐむことしか出来ない私が、大嫌いだ。

＿＿＿待ち合わせの場所に着くと、nakamu王子は既に座って待っていた。
後ろに侍従が居ないのを見て、こちらもそれ相応の態度を取らなければと思い、全員外で待機するよう伝える。
陰鬱な気持ちを悟られぬように、ゆっくりと椅子に座り、彼と向かい合う。意図の掴めない仮面に、思わず顔を顰めそうになる。

そこからしばらく、沈黙。私も彼も、口を開くこともしなかった。

「あ、あの」

このまま時間が潰れればいいのだけど、と思い始めた時、彼から声がかかる。
その声は存外高く、こわばりが生じているように感じた。

1番最初の挨拶で声は聞いていたが、それどころではなかったので改めて聞くと驚きだ。なんというか…失礼かもしれないが、可愛い声をしている。

『はい、なんでございましょう』

冷静を努めて返事をする。
すると、彼は言葉を探すようにあちらこちらに視線を渡らせているようだった。まぁ、仮面で見えないのだけれど。

「その、俺…姫様が、婚約に乗り気ではないことを…その、理解してる、つもりです。」

その言葉を受け、私はさらに驚いた。てっきり相手は婚約をしたいと思ってここに来ていると思ったからだ。

『…じゃあもしかして、貴方も無理やり連れてこられたの？』

そう聞くと、彼は焦ったように両手を左右に降って、

「え、や、あの、僕はその自分の意思で来ました、はい…」

そう言って項垂れてしまう。私が貴方も、なんて言ったせいだ。

『気にしないで。勝手に勘違いした私が悪かったの』

そう告げると、
彼の様子が、幾分か落ち着いた様子に見える。