【原神】無表情の私とホムンクルスの君【アルベド】 (ページ8)

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7話ページ8

最初の記憶は、赤。
目の前が真っ赤で、でも暖かくて、ふわふわしていた。

そして、暗くて狭い道を通り、長い時間をかけて、私が人として生まれた。

私は、生まれてからずっと胎内記憶、そして物心つく前からの記憶が全て残っている。
何故、残っているのかは分からないが、成長につれて言葉の意味を理解するようになり、それは記憶の内容も同様だった。

母の腹の中に居た時、父は母に男の子じゃないなら要らない、と、怒鳴り、母はそれに抵抗し、よく言い争いをしていた。

産まれてからも、それは大差なかった。
いつも何かを言い争う父と母。
真っ赤な顔で何かを叫ぶ父、母は私を庇いながら何かを言い返している。

父は、私に家業である輸送業を継がせたかったからか、男の子以外は要らなかったらしい。
母は、その意見に猛反対することから、家庭に亀裂が入った。

私が産まれてからは、父は仕事にも行かなくなり、家で酒を飲んでは荒れ、私に出ていけと怒鳴る。
それが日課のようになっていた。

母は、昔は有名な冒険者だったらしく、その時は冒険者を引退し、冒険者教会の事務仕事をしていた。
そんな母は、私をよく城の近くの教会に預けて、仕事に行っていた。

ある日、夜中に私を抱き抱えて、とある所に歩いていく。
西風騎士団の本部の前まで来ると、私を暖かい毛布に包み、母がいつも腰に付けていた緑色に光る宝石......神の目を私に握らせる。

幸せで。

その言葉を残して、母はその場を去る。

その後私は、騎士団に保護された。
保護される頃には、神の目は輝きを失っていた。