ちがうそうじゃない【ま.ふまふ】 (ページ2)

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そうじゃない1 ページ2

鈍感にも程があると思うんだ。

ついさっき、震える手で送ったLINE。

｢今週の土曜映画行かない？｣

この短い文を送信するのに何億年かかったことか。だいぶ盛ったけど、彼女の好きなマンガの実写映画が公開した日から毎日スマホの画面とにらめっこしていたのは事実。

今日、ついに、ついに...

誘うことができた...！

返事が待ち遠しくてベットに飛び込み枕に顔をうずめて足をバタバタさせる。夢にまで見た彼女との映画館デートに思いを馳せていると

数分後

ヴーッ

わずかに震えたスマホ。恐る恐る緑のアイコンをタップしてどこどこうるさい胸を抑える。

｢行きたい！リリちゃんも誘っとくね！｣

.....は？

目に飛び込んできたのは予想の斜め上の内容。それに続いて幼なじみというグループからもメッセージ1件。

｢みんなで今週の土曜映画行かない？｣

は？え、は？

待って待って待って。どういうこと？ボクの中の薔薇色のデートプランがガラガラと崩れる音がする。

まさかこの子、気づいてない？

わざわざグループじゃなくて個チャに送ったのに、気づいてない？

グループに送ったら意味なくなっちゃうの、気づいてない？

｢待ってよ.....｣

へろへろとカーペットの上に崩れ落ちる。数分前までのどきどきそわそわしてた気持ちを返してくれ。切実に。

｢ちがうそうじゃない...｣

口の端から漏れ出た独り言は掬われることもなく、無機質な天井に溶けていった。