Symphony12【病系】【短編集】

. ページ21

.

水side









「 おやすみ、さとみくん 」


ようやく、ベッドの上に横になったさとみくん

寒くないように肩までしっかり布団をかけて、その流れで熱さを確認するために今一度彼の首元に手を置いた

お風呂入りたてだから先程みたいに冷たいとはならなかった




「 明日はもうちょっと熱下がってるといいね 」

「 …ん、ｹﾎｯケホ…、」


2段ベッドの上にいる彼の下。自分のベッドに横になれば一気に眠気が襲ってきた





.





「 …ころ、？おきてる、？ 」


何度が咳を繰り返していたから、まだ眠れていないのは分かっていたが、名前呼ばれるとは思ってなくて少し時間を置いてから返事をした




「 おきてるよ、 」

「 …ぉれが、寝るまで、寝ないで……、ごほっこほ 」


「なんで？」とやけに素直な僕の脳内はハテナがすぐに浮かぶけど、そんな考えよりか今日は全て「仕方ないな」という感情の方が強く感じる



昔、2人で夜遅くにホラー映画を見たあとにも言われたっけ

怖いから、俺より早く寝るなって。

数十分に1回さとみくんから名前を呼ばれる点呼の時間があって、それに返事できないと理不尽に叩き起されてた


そんな少し昔の思い出も今は懐かしいなと思えるようになってきた







「 …いいよ。さとみくんが寝るまでは僕は寝ないよ 」

「 ……、おまぇ、ほんと優しくて、いいな 」


きっと今日のさとみくんのこのわがままが、嫌と感じないのはいつも以上に彼が素直だからだと思う

言われる僕が照れてしまうような言葉をもう幾つかけられただろうか






「 …ころん、 」

「 おきてるよ 」


「 ……ころ、、 」

「 起きてるよ。おやすみ、さとみくん 」

「 ン。おやすみ…、 」




何度も何度もこんな短い会話を繰り返して、ようやく聞こえてきた深い寝息

それを聞いて、呼ばれなくなった名前に少しノスタルジーを感じながらも僕は目を瞑った



長い一日。けど今日も凄く楽しかったな






.


満更でも無い日−fin.


.
ちょっと大袈裟なくらいぐずぐず？甘えた？にしてみました^^;

155_SAVIOR【赤×水】→←.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す