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桃side
あれからころんは憔悴していくばかりだった
眠っている時間も増えた
ご飯もあまり食べていないみたいだし、点滴と酸素が手放せなくなっている
「 …ぁ、さとみ、くん、、 」
「 よ。 」
首だけを俺に向け、へらって笑うその顔が昨日よりも窶れていると感じてしまう
「もう長くない」と医者から聞いてから、会う度に、ころんの顔を見る度に喉の奥がキュッと締まる
「 きょーは、、なに、してたの、? 」
「 今日は、みんなで動画撮ってた。マリカー。懐かしいだろ? 」
「 ぅん…、 」
「 ころんは、ご飯食べれたんか? 」
「 ……おかゆ、ね。ちょっと、たべた、よ… 」
ころんの青白くて骨が浮きでた細い手が伸びてきて俺の手の甲に乗った
それを両手で包み込むように握ればうっすらと開いていた目がゆっくり閉じる
表情はとても穏やかで、ただ眠っているだけだろうに、ダメだ
泣くな俺。ころんの前では泣かないって決めただろ
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よく晴れた青空の日
まだ冬なのに春の陽気で、コートは暑くてデニムジャケットを羽織って家を出た
((プルルル
「 もしもし? 」
ころんの元へ向かっている途中鳴った電話。相手は莉犬
「 …わかった。急ぐ 」
今日は天気の話をしよう。花の香りがして暖かくて空気が美味しいって。花粉はヤバいけどって。
そんないつもと同じ、たわいもない話を
「 ッころん、! 」
デニムジャケットも暑かった。ニットなんて着なきゃ良かった
額に汗をかいたまま入った病室。規則正しくなる機械音
彼からの返答は、ない
「 …ごめん、2人きりにさせてくんね? 」
既に病室にいた莉犬るぅとに頭を下げれば、すぐに腰を上げてくれた2人
先程までるぅとが座っていた椅子に座り、ころんの手を握る
「 ……ころん。今日は、暖かいぞ…。お散歩日和だな、 」
声が震える、胸が苦しい
泣くな。泣くなよ、さとみ
「 、、バカ…まだ逝くんじゃねぇーよ、、相棒…! 」
ぽつぽつとシーツに雫が落ちていく
「 …、へへッ 」
「 ころん、?! 」
きゅっと握り返された柔かい手。掠れた笑い声
「 …泣いてくれた。いつも、泣かないから……、さとみくん、、泣き虫、な、くせに… 」
「 ころんだって、泣き虫 」
彼の瞳からも大粒の涙が零れている
「 ありがとうさとみくん 」
そう言ってころんが笑うから、俺も笑った
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なぁ、相棒−fin.
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yuka_ayaton(プロフ) - リクエストありがとうございました!2人の絡みが微笑ましくてあっという間に読み終わっちゃいました😊 これからも応援してるます💕 (3月8日 23時) (レス) @page49 id: 77a4af734c (このIDを非表示/違反報告)
しゅあ。(プロフ) - わーー、今回のお話はめっちゃあったかい話だ‥。めっちゃ好き。 (3月2日 0時) (レス) @page38 id: f84cc4c883 (このIDを非表示/違反報告)
らふのすけ(プロフ) - しゅあ。さん» しゅあちゃん!!もちろん覚えてるよ\(^o^)/~!コメントありがとう🙌🏻しゅあちゃんに読んでもらってると分かれば投稿頑張っちゃいましょうかねぇ✊🏻❤️🔥 (3月1日 2時) (レス) id: 75a74ec2d8 (このIDを非表示/違反報告)
しゅあ。(プロフ) - らふちゃん、覚えてるか分かんないけどお久しぶり。 やっぱ天才だわ。楽しませてもらってます。 (2月29日 0時) (レス) id: f84cc4c883 (このIDを非表示/違反報告)
らふのすけ(プロフ) - たきこみごはんさん» リクエストお受け致しました。長らくお待たせするかもしれませんが気長にお待ちください😌 (2月23日 10時) (レス) id: 75a74ec2d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らふのすけ | 作成日時:2024年2月7日 9時