Symphony8【病系】【短編集】

. ページ8

.

桃side









「 んー、どしたー？ 」


彼からの急な着信

それに出れば、受話器の奥から咳き込む声がする





「 ころーん？ 」

［ けほっけほ、ｯ、さとみ、くん… ］


咳の後に聞こえたいつも以上にガサガサな声

3日ほど前の俺がその向こうにはいた






.






((ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ


「 、あいてるよ、…っけほ 」

「 声ガサガサだなぁ、w 」


デジャブのような会話をして中に入る






「 お前さ〜w 」

「 移さないでよ、っけほっごほっ 」

「 移るなよ！w 」


真っ赤な顔に、枯れている声

ほんと数日前の誰かさんを見ているようだ








「 色々買ってきたよ。酒も 」

「 、いらんてw 」

「 遠慮すんなってw 」


ソファーに座って、膝の上に乗ってる愛犬を無心で撫でてるころん




「 寝ないの？ 」

「 寝るよ、… 」

「 薬は？ 」

「 飲んだ、けほっけほ 」


ころんはソファーの上でぼーっと一点をただ見つめてる

風邪ひくとそうなるよなって、最近の記憶が蘇る





「 さとみくんさぁ、ｹﾎ…ありがとね 」

「 ん？w はは、なんだよw はよ寝ろ」

「 来てくれて、…、 」

「 ころんも来てくれたじゃん 」

「 行くよ…だって、ｺﾞﾎｯｺﾞﾎ …友達じゃん、 」

「 そうだな 」


ニカって笑えば、ころんは近くにあったクッションを抱きしめて目を閉じる





「 ここで寝んなよ〜、 」

「 ん、…げほっけほｯ 」

「 ほらぁ〜ころちゃ〜ん、 」

「 立つの、頭ぎゅってするの…けほ 」

「 連れてってやろうか？ 」


「 、…げほっけほけほｯ、あぁ"ー！もぅ喉痛い 」

「 すぐ治るよ、静かにしてろ 」



頬を赤くして、いつもより潤んだ目が合う



「 なんだよ、w やっぱ俺に寝室まで運んで欲しいんじゃん 」

「 違うよ、！ｯｺﾞﾎｯ 」

「 恥ずかしがんなってw 」


差し伸べた手をはたかれて、ころんは無理に立ち上がる

フラッとよろけた所をキャッチして、結局支える形で寝室まで運んだ






「 …けほっけほ 」

「 加湿器つけとくからな、 」

「 もぅ、帰っていいよ…っけほ 」

「 …じゃあ帰るわ 」

「 、ほんとに？ 」


なんだよこいつ、めんどくせえw



「 ころんが寝たらな 」

「 …おやすみ 」


安心したように目を閉じ、直ぐに眠ってしまったころん






「 なんで俺ん事呼んだんだよ、w 」


眉間に皺を寄せまだ辛そうな彼の寝顔は、相変わらず可愛いもんだ





.


友−fin.


.

99_ちっぽけep.4［橙×水］→←98_友【水×桃】*

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す